先月中旬に、胸腺癌もしくは肺扁平上皮癌+上大静脈症候群、両側胸水貯留、心嚢液貯留に対する放射線治療後のリハビリということで転院してきた患者さん。
転院直前に右胸膜癒着術を行われたものの、転院後も両側胸水、心嚢液は増え続けた。
あれこれ悩んだ末に、低血圧や頻脈、下肢優位の浮腫など、心タンポナーデを思わせる所見が多かったことから、胸水ドレナージよりも心嚢ドレナージを優先することにして、本日処置を行った。
ドレナージを要するがん性心膜炎に遭遇する機会は、意外とない。
仮に遭遇したとしても、大学のような総合病院に勤務していると、ドレナージは循環器内科や心臓血管外科に依頼することがほとんど。
データベースを紐解いてみると、心嚢ドレナージを行ったのは実に6年ぶりだった。
前回は穿刺当日に1000ml排液されたものの、今回は200mlそこそこだった。
処置終了後、レントゲンで確認したところ、カテーテル尖端が左主気管支の下くらいまで達していた。
ちょっと上方過ぎる。
後日、位置調整が必要かも。
心膜癒着術といえば、JCOG9811、ブレオマイシンを用いた心膜癒着術が広く知られている(と勝手に考えている)。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19156149
呼吸器内科医にとって、ブレオマイシンはあまりうれしい薬ではない。
治療薬というより、間質性肺炎を高率に合併する嫌な薬として深く脳裏に刻み込まれている。
間質性肺炎の動物モデルとして、ブレオマイシンによる急性肺障害マウスがポピュラーなくらいである。
が、胚細胞腫瘍や癌性心膜炎の治療の際にはブレオマイシンが登場する。
近日中に、久し振りにやってみるつもり。