pseudo-progression on POPLAR study

 "pseudo-progression"や"durable response"、免疫チェックポイント阻害薬を語る上ですっかり定着した感のあるこれらの言い回し。

 身近なところでもそうした患者さんが見られはじめている。

 ir-RECISTでは、確か治療開始後120日ごろの効果判定が推奨されていたように思う。

 免疫チェックポイント阻害薬に関連したセミナー、講演会は、学会主導、企業開催を問わず雨後の筍の如く繰り返し行われているようだが、今のところは「明らかな病勢進行で患者の状態が悪化していなければ」、一定期間(これが120日程度ということなのだろう)は治療を継続使用という論調が多い。

 有害事象を早期に捕まえる上で診察や血液検査はまめに行うべきだろうが、明らかな病状の悪化が無ければ、効果判定は120日目以降にしてしまってもいいのではないだろうか。

https://cslide.ctimeetingtech.com/library/esmo/browse/itinerary/5566/2017-05-06#2DYJ07g

ELCC 2017: Some Patients With Lung Cancer Benefit From Immunotherapy Even After Disease Progression

By The ASCO Post

Posted: 5/8/2017 12:16:51 PM

Last Updated: 5/8/2017 12:17:43 PM

 進行肺がんの一部の患者に対して免疫療法が有効だが、標準的な評価方法で病勢進行と判定されていてさえ有効なことがあると、ELCC 2017 abst.#96PDで発表された。新しい、免疫療法特異的な評価方法を用いて、治療を続けるべきかどうかを考える必要がある。

 RECISTシステムは腫瘍サイズの変化を評価し、腫瘍が治療に反応しているのか、あるいは病勢が悪化しているのかを判断するためのものである。CTにおいて腫瘍が増大していれば癌が悪化しているシグナルで、引き続き別の治療を行うか、緩和療法に留めるかを選択することになる。免疫関連RECIST(ir-RECIST)は、免疫療法を受けている患者の腫瘍が一次的に増大することがある、という事実を踏まえて開発された。

 「免疫療法は、リンパ球の腫瘍組織内への浸潤を促し、一過性の腫瘍増大を引き起こす」

 「化学療法をする場合には、腫瘍増大はそのまま病勢進行を示唆している」

と発表者は語っている。

POPLAR試験

 今回報告されたのは、プラチナ併用化学療法後に病勢進行に至った非小細胞肺がん患者を対象に、二次治療として抗PD-L1抗体であるAtezolizumab群とドセタキセル群に割り付けた第II相試験、POPLAR試験の事後解析についてである。治療効果はRECISTとir-RECIST双方で行った。既にFehrenbacherらによってLancet誌上に報告されたように、Atezorizumabはドセタキセルと比較して、有意に生存期間を延長した。

 POPLAR試験のプロトコールでは、RECISTにおいて病勢進行が示唆されていても、ir-RECISTでは病勢進行にあたらず、治療継続困難な毒性がなければ、Atezolizumabを継続使用してよいことになっていた。今回の事後解析では、こうした経緯でAtezolizumabが継続使用された61人を対象に、全生存期間とPerformance Statusを評価した。

 今回解析した患者のうち82%において、後に腫瘍はサイズが変わらなくなったか、あるいは縮小した。生存期間中央値は11.8ヶ月で、ir-RECISTを用いて評価すると奏効割合が上昇した。