ご家族の思い

 肺がん診療をしていても、自分の患者さんが亡くなった場合、そのご家族と後々までお付き合いする機会はあまりない。

 

 本ブログの読者の方から、以下のようなコメントを頂いた。

 内容を拝見して、涙腺が緩んだ。

 奥さまを亡くし、残されたこのご主人は、おそらく私と同じ世代の方だろう。

 「子供に手を取られて随分と遅くなった」

 「まだ何と無く肺癌の記事を読んでしまう」

 「ウチはもう患者家族から卒業した」

というところは、淡々と書かれてはいるものの、つらいお気持ちは察するに余りある。

 

 本ブログは、患者さんやご家族のみならず、肺がんにかかわる様々な職種の方がときどき眺めてくださっているようで、このところいろんな形で、いろんな人から声をかけていただいている。

 内容には「私自身の興味」というバイアスが大きくかかっているので万人にはお勧めできないのだが、今回いただいたコメントは、是非読者の方々と共有したい。

 そして、稀なケース、エビデンスでは太刀打ちできないケースに向き合ったとき、本人やご家族、医療者がいかにもがき苦しんで、エビデンスのないところで奮闘しているのか、診療経過から感じてほしい。

 ご一読を。

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e896441.html

 2月の肺癌学会アンケートの際にコメントさせて頂いた者です。その節は暖かいコメントを本当に本当にありがとうございました。

 子供に手を取られて随分と遅くなったのですが本記事に少し関わる情報かと思うので素人考えですがご知見の一つにと思いコメントさせて頂きます。まだ何と無く肺癌の記事を読んでしまいます。

 ウチの妻が、非小細胞肺腺癌から小細胞に変異したのか元から居たのか分かりませんが、大きな影響を受けた様です。レアケースなのでしょうか?

 これから耐性と戦って行くと色んな変異が起こり、色んな可能性を想定してマルチラインに対応して頂かないといけないのかもしれません。

 以下に経緯を書かせて頂きます。コメントなどは不要です。臨床の一例として先生の一情報となれば幸いです。

 ウチはもう患者家族から卒業しましたが患者さんが少しでも減り、良い治療を受けられます様に祈念しております。影ながら応援しております。

・42歳女性 健診胸部X線で胸水まで見える。

この3ヶ月ぐらい前から幹部側の胸の表皮に極軽い皮疹。ピリピリした痛みを少し感じる程度。皮膚科でも帯状疱疹では?とか言われる程度でした。

・生検でEGFR変異 L858変異と診断。胸椎、骨板等転移でSTAGE ?の診断。

イレッサ後に肝機能悪化。ここで転居、転院。

その後タルセバへ。

・全体SDもその後胸椎転移の溶骨で圧迫骨折寸前でカルパクイレッサ放射線治療

・タルセバに戻すもその後PD

・シス+アリムタ+アバスチン。

・ドセ 。脳転移あり、ガンマ。

・ジェムザール、カルセド 。

・PD後 癌性髄膜炎状態に。歩行困難。ガンマも追加出来ずタルセバ。

・タグリッソ個人輸入で手配。3ヶ月弱服用で劇的回復。その後無償供与にも参加。(事前検査でT790M検査済)

ただしこの段階で脊椎に増骨性転移も。

・PD。肝転移が拡大。

●ここで鎖骨のリンパ節が腫脹。

小細胞では首周りのリンパ節が良く腫れるそうですが主治医の判断でマーカーを取るとNSEが異常値との事でカルボ+イリノテカンでまた大幅縮小。ただし肝臓はあまり縮小せず。

※少なくともこの時点では小細胞要素が多分にあり、イリノテカンが効いたのではないかと推測。NSEも一気に改善。

・しばらくSDも肝転移が憎悪、ニボルマブ切替を検討するも貧血、血小板減少が加速。

輸血しながら肝塞栓療法を検討するも血小板が増えず。緩和に。

・最終 DICにて死去。

年齢も有るのか多様な要素が入り混じった感が主治医には有った様です。

治療(OS?)45ヶ月でした。

以上