Pembrolizumab単剤療法がプラチナ併用化学療法を凌駕、KEYNOTE-024

 細かいデータはまだこれから明らかにされるのだと思いますが、PD-L1高発現の非小細胞肺癌の一次治療において、Pembrolizumabがプラチナ併用化学療法を無増悪生存期間、全生存期間において有意に凌駕したことが明らかになりました。

 EGFR遺伝子変異、ALK遺伝子再構成、ROS1遺伝子再構成等々の遺伝子異常をバイオマーカーとした治療に加え、PD-L1発現状態がバイオマーカーとなって、進行非小細胞肺癌の初回治療が書き換えられることになります。

 遺伝子異常をバイオマーカーとした治療群と異なるのは、事前にクロスオーバーが認められているにも拘らず、全生存期間までPembrolizumab群で延長したということです。

 さらには、奏効割合の相違については今回のプレスリリースでは明らかにされておらず、これはすなわち、奏効割合では優位な差がつかなかったのだろうということを想像させます。

 進行非小細胞肺癌患者のうちどれだけの割合がPD-L1高発現群に含まれるのかはこれから明らかになるのでしょうが、治療体系が大きく、より複雑に変わることは間違いなさそうです。

 進行非小細胞肺癌の初回治療において、Pembrolizumabがプラチナ併用化学療法と比較して無増悪生存期間、全生存期間を有意に延長した

 腫瘍組織の50%以上がPD-L1を発現している未治療進行非小細胞肺癌において、Pembrolizumabは化学療法と比較して、主要評価項目である無増悪生存期間、副次評価項目である全生存期間のいずれも有意に延長した。この結果を踏まえ、独立データモニタリング委員会は試験の中止を勧告し、化学療法群に割り付けられた患者に対してPembrolizumabを使用する機会を提供するように求めた。

 Dr. Roger M. Perlmutterは以下のようにコメントしている。

「本試験、KEYNOTE-024の結果は、非小細胞肺癌における初回化学療法にパラダイムシフトをもたらす可能性を秘めている」

「我々は、本試験の結果を全世界の医療従事者や規制当局と共有できることを楽しみにしている」

 Pembrolizumabの安全性プロファイルは、これまで進行非小細胞肺癌患者に適用された臨床試験結果と概ね一致しており、新たに報告されたものはない。KEYNOTE-024の試験結果は今後の医学系学会で報告される予定である。

 KEYNOTE-024試験は、進行非小細胞肺癌患者に対する治療として、Pembrolizumab単剤療法と、標準治療とされるプラチナ併用化学療法を比較する無作為化第III相試験である。適格条件は、非小細胞肺癌に対する化学療法歴がないこと、腫瘍組織がPD-L1を高発現している(腫瘍全体の50%以上が発現している)ことが、免疫組織化学を用いて中央診断されていること、だった。本試験では305人の患者をPembrolizumab群(200mgを3週間ごとに投与)と、プラチナ併用化学療法群(カルボプラチン+パクリタキセル、カルボプラチン+ペメトレキセド、シスプラチン+ペメトレキセド、カルボプラチン+ジェムシタビン、シスプラチン+ジェムシタビン)に割り付けた。非扁平上皮がん患者においては、ペメトレキセド維持療法も許容された。加えて、プラチナ併用化学療法群においては、病勢進行後にPembrolizumabにクロスオーバーできる条件が付された。主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間と奏効割合とした。