ノギテカン(ハイカムチン)供給停止の件、再掲

 先だって、下記の記事でノギテカンが入手困難になるとの話題を取り上げましたが、日本肺癌学会からも連絡がありました。

 転載します。

 困ったもんです。

 特に、新規症例のノギテカン使用は慎まなければなりません。

 本日セカンドオピニオンを受けた患者さんは、ノギテカンによる三次治療を継続しながらこれまで約1年間安定していた方でした。

 今回のような理由で治療を中断せざるを得ないとなると、直接患者さんの命にかかわる由々しき状態です。

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e854579.html

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日本肺癌学会 会員各位

「ハイカムチン® 注射用 1.1 mg」(一般名ノギテカン塩酸塩)の供給停止について

2016年6月1日付けで、「ハイカムチン® 注射用 1.1 mg」(以下、ハイカムチン)の

製造販売元である日本化薬株式会社(以下、日本化薬)から、ハイカムチンに関し、

・海外製造委託工場(Glaxo Smith Klineパルマ工場、イタリア)において

GMP上の問題と原薬の調達に係る問題が発生したため供給停止され、

現時点で入荷再開時期の見込みが立たない状況であること

・現在の在庫状況から勘案し、2016年6月末頃には供給が出来なくなる見込みであること

という情報提供があったところであります( https://mink.nipponkayaku.co.jp/index2.html )。

本学会にも上記状況の説明があり、対応策について案内している旨の報告を受けております。

イカムチンはトポイソメラーゼI阻害剤で小細胞肺癌sensitive relapseにおける第一選択の薬剤であり、

該当患者さんの不利益が懸念されるところであり以下のような対応が必要となると考えられます。

・新規症例へのハイカムチンの投与を見合わせる。

・現在ハイカムチンを投与中の症例については、肺癌診療ガイドライン2015年版

( https://www.haigan.gr.jp/guideline/2015/3/150003040100.html#a3-4-1_04 )に則して

代替療法への切り替えを早急に実施する。

具体的にはPS良好の患者に対してはシスプラチン+エトポシド+イリノテカン、

その他の患者に対してはエトポシド、イリノテカン、アムルビシンのそれぞれの単剤治療などが

次善の策として薦められる。

なお本学会は、日本化薬に対し早期の供給再開と再発防止について強く要請すると共に、

新しい情報が得られ次第、遅滞なく周知して頂くよう依頼致しました。

該当患者を担当されている先生等におかれましては、

患者さんの不利益が最小となるよう上記状況をよく説明の上ご対応下さいますようお願い申し上げます。

2016年6月8日

日本肺癌学会

理事長 光冨徹哉