・SPIKESの最後のS

 今回は「SPIKES」の最後の「S」のお話です。

 

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 一連の面談が終了し、最後の締めくくりです。

 SPIKES最後の「S」は「Strategy」の「S」、または「Summary」の「S」です。

 

 悪い知らせを伝える際の面談は、長い時間を要することがほとんどです。

 患者さん、ご家族はおろか、医療従事者も面談の内容を忘れてしまいがちです。

 ですから、面談は内容を筆記しながら進め、最後にもう一度、その説明文書を見つつ要点をまとめることが勧められます。

 そして、今後の治療戦略を考えます。

 これまでの経過、患者さんの病状、患者さんとご家族のニーズを踏まえ、医療従事者も一緒になって今後の方針について話し合います。

 

 ときには、治療方針の検討まで話が至らないかもしれません。

 その場合には、次の面談あるいは診療の予定を組んで、面談を終了します。

 そういった意味では、次回の診療に向けての「Setting」としての「S」でもあります。

 「SPIKES」が「S」に始まり「S」に終わるところに、そうした深みを感じます。

 

 私の恩師が大分へ講演に来られた際、「セカンドオピニオン外来」を担当する医療従事者には、SPIKESの内容をはじめとしたコミュニケーションスキルの講習を義務付けることにしたとおっしゃっていました。

 その後、「悪い知らせの伝え方」についての啓発活動は随分と盛んになりました。

 がん診療に携わる医師を対象として、e-learningを含めて全国各地で開催されている緩和ケア研修会において、「悪い知らせの伝え方」は必修科目に位置付けられています。

→参考リンク各都道府県知事殿 (mhlw.go.jp)