今回は、「SPIKES」の「P」を扱います。
「P」は「Perception」の頭文字です。
「Perception」の意味は「認識」「理解」です。
患者さんもしくは家族、敷衍すれば説明する医療従事者側の「認識」「理解」です。
当然のことながら、面談開始前の参加者それぞれの病状認識・病状理解には、ずれがあります。
患者さんがどれだけ自分の病状を知っているのか。
家族はどれだけ患者さんの病状を知っているのか。
医療従事者はどれだけ患者さんのこれまでの経過、前医の説明内容、患者さんや家族の現時点での理解度を把握しているのか。
医療従事者からの説明を始める前に、出来るだけこれらの認識のずれを修正する必要があります。
そもそも、今回の面談に参加しているのは、患者さんにとってはどういった関係がある人々なのか。
参加者みんなが自己紹介をしてお互いを知るのも、この段階では重要なことです。
一般に、医療従事者は「お待たせしました。それでは始めましょうか。」と一方通行な導入から説明を始めてしまいがちです。
しかし、「SPIKES」で「Setting」の次に設けられている「Perception」の段階は、「患者・家族の認識・理解を知るための段階」と位置づけられています。
効率よく話を進めるために、患者さん・ご家族の面談開始時点での病状認識・病状理解を知り、前医の説明内容を知り、これまでの病歴を整理し、要約しなければなりません。
その後に、しかるべき手順を踏みつつ、今後の治療意思決定に必要十分な情報を医療従事者が伝えます。
理解度は患者さん・ご家族によってさまざまでしょうから、医療面接もひとつの「個別化医療」といっていいでしょう。
悪い知らせを伝える・受け取るに当たり、まずは面談の参加者みんなが、同じスタートラインに立つ。
面談開始前にわかっていたこと、わかっていなかったことを整理して、お互いに準備を整えます。
そして、次の「Invitation」の段階へと入っていきます。