網羅的遺伝子解析のFoundation One CDxとOncoGuide NCC、いよいよ実地臨床へ

 2019/05/29の厚労省中医協の会議において、Foundation One CDxとOncoGuide NCCの保険償還が認可された。

 2019/06/01から実地臨床で施行可能になるとのことで、NHKの朝のニュースでも「がんゲノム医療」として取り上げられていた。

 がん遺伝子の異常を検出し、それに基づいた薬物療法を行うことは、別にいま始まった話ではない。

 2004年にEGFR遺伝子変異とEGFR阻害薬の臨床効果に関する関係が明らかにされてから、肺癌の領域では15年にも及ぶ歴史がある。

 肺癌領域よりも、むしろ遺伝子変異と治療戦略の結びつきが少ない他の癌腫において、これらの検査はより意義深いのではないだろうか。

 検査の施行、専門家会議による検査結果の解釈と治療法の提案までのプロセスを一体として、保険点数56,000点と設定されたとのこと。

 つまり、実費として560,000円かかり、自己負担額は各患者の保険負担割合や高額療養費制度の適用によりdiscountされる様子。

 対象は、標準治療をやりつくし、他に有効な治療がないと判断される患者。

 実施可能な医療機関は、「がんゲノム医療中核拠点病院(11施設)」「がんゲノム医療連携病院(156施設)」「これらに準ずる病院」。

 まだまだ一般化への道のりは遠い。

 誰もがアクセスでき、初回治療から本診療を適用できるようになるまでは、相当の時間がかかるだろう。

 本検査の適用を切望していた患者さん、ご家族、あるいは医療従事者にとっては、かえって失望を招くような適用条件だったかもしれない。

 だけど、これは大きな一歩だ。

 しばらくは治療に活かすというよりも、得られたデータを全国的に集積して、今後の治療開発に活かすという側面の方が強いのだろう。

 そうした過程を経て、いずれは各患者の遺伝子異常を特定して、それに応じた治療薬を迅速に創薬し使用する、といった世界が来るかもしれない。

 もっとも、こうした治療は多数の遺伝子異常を同時に抱える患者には適用しがたい。

 まだ癌に罹患していない人も、これから他の癌を重複発生するかもしれない人も、不摂生な生活をして自らの体に遺伝子異常を蓄積することがないように気を付ける方が賢明だ。