EGFR T790M変異 ctDNA検索 保険収載間近

 2017年6月28日、T790M血漿検査(コバスv2.0)の保険適用に関する中医協が開催され、保険収載日が7月1日(土)になったとのこと。

 「組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること」

との条件が付されているが、検査が乱発されそうなのは容易に想像できる。

 医師の良識と、診断担当医と治療担当医の間での円滑な連携が試されている。

 先日、当院入院中の患者で1人測定したが、もともと腫瘍細胞で確認されていた感受性EGFR遺伝子変異、T790M変異いずれも陰性だった。

 これまでにも同じような結果の人は何人かいたが、病勢進行は認めるものの局所進行に留まっている人が多い気がする。

 気がするだけでなく、きっとそういうことなのだろう。

 ctDNA検索は、耐性変異を捕まえるのが現状の主目的であるのは言うまでもないが、腫瘍DNAが末梢血中に漏出しているかどうかで病勢の悪化を見極める、という点では、腫瘍マーカー検索とか末梢血中腫瘍細胞評価と同様の意義を持っているようだ。

 ここからは憶測に過ぎないが、生検によるT790M変異検索とctDNAによるT790M変異検索の結果が一致しなかったとき(保険請求の条件上、通常の診療ではこんなことは起こらないかもしれないが)、仮に生検による変異検索結果に基づいてOsimertinibの投与を開始した場合には、生検部位以外の病巣が悪化していないかどうか注意深く見守る必要があるだろう。

 生検検体でT790M変異検索を行うにあたっては、まずは生検しやすいところから採取するべきだし、複数の生検可能病巣がある場合には、進行するとより致死的になるとか、よりQoLを阻害するとか、そうしたところを選んで採取したい。

http://www.roche-diagnostics.jp/news/17/06/30.html

 

販売名: コバスEGFR変異検出キット v2.0

保険適用希望企業: ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社

測定項目: EGFR遺伝子検査(血漿

測定方法: アレル特異的リアルタイムPCR

保険点数: 2,100点

準用保険点数: D006-2 造血器腫瘍遺伝子検査

留意事項案:

1. 本検査は、肺癌の再発や増悪により、EGFR遺伝子変異の2次的遺伝子変異が疑われ、再度治療法を選択する必要があり、血漿を用いてリアルタイムPCR法で測定した場合に、患者1人につき1回に限り算定できる。

 ただし、本検査の実施は、医学的な理由により、肺癌の組織を検体として、区分番号「D004-2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査の「イ」EGFR遺伝子検査(リアルタイムPCR法)又は

「ロ」EGFR遺伝子検査(リアルタイムPCR法以外)を行うことが困難な場合に限る。本検査の実施にあたっては、関連学会が定める実施指針を遵守すること。

2. 本検査を実施した場合は、肺癌の組織を検体とした検査が実施困難である医学的な理由を診療録及び診療報酬明細書の摘要欄に記載すること。

3. 本検査、区分番号「D004-2」悪性腫瘍組織検査の「1」悪性腫瘍遺伝子検査、区分番号「D006-2」造血器腫瘍遺伝子検査又は区分番号「D006-6」免疫関連遺伝子再構成のうちいずれかを同一月中に併せて行った場合には、主たるもののみ算定する。