・小細胞肺がん二次治療としてのアムルビシン単剤療法の効果

 ひとつ前の記事で、Lubrinectedinのことを書いていて、そういえば小細胞肺がん二次治療におけるアムルビシンのことをまとめていなかったなと気が付きました。

 肺がん診療ガイドラインを眺めて、我が国のアムルビシン療法の背景になっている論文の要約をまとめてみました。

 奏効割合30%強、無増悪生存期間中央値3ヶ月強、生存期間中央値9ヶ月そこそこ、というのは、アムルビシンもLubrinectedinもいい勝負という気がします。

 もしかしたら、Lubrinectedinは我が国ではもう少し良い成績を残すかもしれません。

 

 

 

A single-arm confirmatory study of amrubicin therapy in patients with refractory small-cell lung cancer: Japan Clinical Oncology Group Study (JCOG0901).

 

Murakami H et al.

Lung Cancer 2014

doi: 10.1016/j.lungcan.2014.01.012.

 

目的:

 治療抵抗性(refractory relapse)再発小細胞がんの患者を対象に、トポイソメラーゼII阻害薬であるアムルビシン単剤療法の有効性と安全性を、オープンラベル多施設共同単アーム臨床試験で検証した。

 

患者と方法:

 化学療法抵抗性となった小細胞肺がん患者を対象に、アムルビシン40mg/?を3日間連続で投与し、21日間サイクルで繰り返した。主要評価項目は奏効割合とし、副次評価項目は無増悪生存期間、全生存期間、安全性とした。

結果:

 2009年11月から2011年2月にかけて、82人の患者を登録した。アムルビシンの治療コース数の中央値は4コース(1-22コース)だった。奏効割合は32.9%で、95%信頼区間は22.9-44.2%だった。無増悪生存期間中央値は3.5ヶ月(95%信頼区間は3.0ヶ月-4.3ヶ月)、全生存期間中央値は8.9ヶ月(95%信頼区間は7.6ヶ月-11.3ヶ月)だった。過去にエトポシドの治療を受けたことがあるかないかで、奏効割合(21.4% vs 45.0%、p=0.034)、無増悪生存期間(2.9ヶ月 vs 5.1ヶ月、p=0.0009)、全生存期間(7.9ヶ月 vs 13.1ヶ月、p=0.0128)に有意差が見られた。好中球減少は最も頻度の高い有害事象(93.9%)であり、発熱性好中球減少も26.8%で認めた。治療関連死はなかった。

結論:

 アムルビシン単剤療法は、再発小細胞がんに対する効果的かつ安全な治療オプションとして検討されるべき治療である。エトポシドによる前治療歴がアムルビシンの効果に影響を与えている可能性がある。

 

 

 

 

 

Amrubicin for relapsed small-cell lung cancer: a systematic review and meta-analysis of 803 patients.

 

Horita N.et al., Sci Rep 2016

doi: 10.1038/srep18999.

 

 現在我が国では、アムルビシンは再発小細胞肺がんに対してのみ適用が認められている。これまでの報告では、アムルビシンの効果と副作用にはかなりの幅がある。今回のシステマティック・レビューとメタアナリシスにおいて、対象とした臨床試験の適格基準は、小細胞がんの患者に対する二次治療として、アムルビシン単剤療法の有効性と安全性を検討した臨床試験であり、生データを参照できる前向き臨床試験とした。9件の臨床試験、803人の患者を対象とした。3ヶ月無増悪生存割合は63%(95%信頼区間は57-69%)、6ヶ月無増悪生存割合は28%(95%信頼区間は21−35%)、9ヶ月無増悪生存割合は10%(95%信頼区間は6-14%)だった。また、6ヶ月生存割合は69%(95%信頼区間は61-78%)、12ヶ月生存割合は36%(95%信頼区間は28-44%)、18ヶ月生存割合は15%(95%信頼区間は8-21%)だった。Grade 3-4の好中球減少を70%で、発熱性好中球減少を12%で認めた。