・わかりやすい字を書きましょう。

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 中学3年生の時の担任の先生の教えで、今でも肝に銘じていることがあります。

 「美しい字を書く必要はないが、誰にでもわかる字を書きなさい」

 

 私は幼稚園から高校まで書道を習いました。

 しかしいまでは、書道で習ったことよりも、たったの一文で表された上記の教えをむしろ大切にしています。

 文字の第一義は、自分の考えを相手に伝えることです。

 芸術性をどんなに高めようとも、文字は文字であり、絵画ではありません。

 意思を伝えることが出来なければ、文字に文字としての意義はないと思います。

 美は機能性に宿ると言いますが、文字こそその最たるものではないでしょうか。

 

 なんでこんなことを言うのかというと、電子カルテ全盛、リモート診療ことはじめの現代にあっても、わかりやすい字を肉筆で書くことは変わらぬ意義を持つと考えるからです。

 内容が読み取れない、作成者の名前すら読めない病状説明文書や診療情報提供書など、何の意味も持ちません。

 電子カルテ以前に、ワードプロセッサー(もはや死語か)で文書を作成する、という行為は、医療界に大きな変革とリスク低減効果をもたらしたはずです。

 それでも、ときにはあえて肉筆で文書を作成しなければならないことがあります。

 

 そして、要点をおさえたスケッチは、ときに千万の文字よりも雄弁に見るものに訴えかけることがあります。

 医療を志す人には、疑いなく絵心が必要だと思いますが、この件はまた別の機会に触れましょう。