・ロルラチニブ、一次治療へ・・・第III相CROWN試験

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 ALK融合遺伝子陽性進行非小細胞肺がんにおいて、ロルラチニブも初回治療で使えることになりそうです。

 しかし、ALK肺がんの世界では、効果・安全性のバランスが非常によいアレクチニブが既に一次治療の主戦力になっている点が、EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんの世界とは条件が異なります。

 初回治療の選択肢がクリゾチニブ、アレクチニブ、セリチニブ、ロルラチニブ、そしておそらく今後brigatinib、ensartinibと加わり、ALK陽性肺がんという少ないパイの熾烈な奪い合いになっています。

 

 耐性化機序の評価と治療薬選択の歯車がきちんとかみ合うようになれば、ことにALK融合遺伝子陽性肺がんにおいては、一次治療、二次治療という考え方よりも、ALK融合遺伝子の種類に応じた治療薬選択という考え方の方が、いずれ主流になるのではないでしょうか。

 また、本来はそのような考え方が、EGFRやほかの遺伝子変異陽性癌においても実用化されるべきだと思います。

 

 

 

 

LORBRENA® (lorlatinib) Significantly Improves Progression-Free Survival in First-Line ALK-Positive Lung Cancer

Wednesday, August 05, 2020 - 08:

 

 第III相CROWN試験の中間解析において、主要評価項目の達成が確認された。

 ファイザー社は、未治療のALK融合遺伝子陽性進行非小細胞肺がん患者に対するロルラチニブ療法が、主要評価項目である無増悪生存期間を、クリゾチニブと比較して有意に延長したと発表した。この結果は、独立データモニタリング委員会による中間解析の結果明らかになった。ロルラチニブとクリゾチニブの安全性は、これまでの各臨床試験で確認されたのと同様だった。CROWN試験の詳細は、今後の医学学会で公表される予定である。

 

 「ほぼ10年前、我々ファイザー社は、ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対するバイオマーカーに基づいた治療(クリゾチニブ)を開発しましたが、これにより本疾患の治療法が一変しました」

 「一次治療を対象としたCROWN試験の結果は、既に二次治療以降を対象とした臨床試験で示されたロルラチニブの有用性をさらに後押しするものとなりました。我々は、医療従事者の皆様とこれらの臨床データを共有し、同様に世界中の規制当局の方々とこの治療の適応拡大について交渉できることをとても楽しみにしています」

ファイザー社の開発担当責任者は語っている。

 

 2018年、米国食品医薬品局は、ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺がん患者で、クリゾチニブとそれ以外の少なくとも1種のALK阻害薬の治療後になお病勢が進行した患者、あるいは初回治療でアレクチニブもしくはセリチニブを使用したのちに病勢が進行した患者を対象として、ロルラチニブを適応承認した。これは、臨床試験におけるロルラチニブの奏効割合と奏効持続期間のデータをもとに、迅速承認として扱われた。CROWN試験は、以上のような条件付き承認を通常承認に転換させるための、いわば確認試験である。CROWN試験でロルラチニブの優越性が示されたことに基づき、ファイザー社は米国食品医薬品局やその他の規制当局と試験結果を共有し、条件付き承認を通常承認に切り替えるべく支援し、未治療のALK融合遺伝子陽性進行非小細胞肺がんに適応を拡大する道筋をつける予定である。

 

 CROWN試験は第III相、ランダム化、オープンラベル、2群比較試験である。296人のALK融合遺伝子陽性未治療進行非小細胞肺がん患者を、ロルラチニブ単剤療法群とクリゾチニブ単剤療法群に、1:1の割合で無作為に割り付けた。主要評価項目は独立した中央判定による無増悪生存期間とし、副次評価項目には全生存期間、治療担当医評価による無増悪生存期間、中央判定による奏効割合、治療担当医評価による奏効割合、中枢神経系病変に関する奏効割合、安全性等とした。