・LURET試験・・・RET陽性肺がん臨床試験の嚆矢

 LC-SCRUMプロジェクトの単緒となったLURET試験。

 うっかりして、きちんと記事にしていませんでした。

 肺がんに関連した遺伝子異常として我が国で見いだされ、しかも最初の薬物療法臨床試験がLURET試験という形で世界で初めて報告されたにも拘わらず、RET遺伝子再構成の検査と治療がまだ保険診療として我が国で認められていないというのは、何とも言えず寂しいことです。

 

 

Vandetanib in patients with previously treated RET-rearranged advanced non-small-cell lung cancer (LURET): an open-label, multicentre phase 2 trial

 

Kiyotaka Yoh, et al,Lancet Respir Med. 2017 Jan;5(1):42-50.

doi: 10.1016/S2213-2600(16)30322-8. Epub 2016 Nov 4.

 

背景:

 RET遺伝子再構成は非小細胞肺がんにおける稀なドライバー遺伝子変異である。vandetanibはRETを含む複数のチロシンキナーゼ阻害薬である。今回我々は、RET遺伝子再構成陽性進行非小細胞肺がん患者に対するvandetanibの有効性と安全性を検証した。

 

方法:

 今回のオープンラベル多施設共同第II相試験(LURET試験)では、RET遺伝子再構成陽性進行非小細胞肺がん患者に対して連日300mgのvandetanibを経口投与した。RET遺伝子再構成陽性患者は、国内約200の参加施設ネットワークでのスクリーニングで抽出した。主要評価項目は独立委員会判定による奏効割合とした。

 

結果:

 2013年2月7日から2015年3月19日の期間内に、1,536人のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者をスクリーニングし、34人(2%)のRET融合遺伝子陽性患者を検出し、そのうち19人が本試験に登録された。効果判定対象となった17人の患者のうち、9人(53%、95%信頼区間は28-77%)で奏効を認め、主要評価項目を達成した。vandetanibによる治療を受けた19人全員について評価したところ、9人(47%、95%信頼区間は24-71%)で奏効していた。データカットオフ時点で、無増悪生存期間中央値は4.7ヶ月(95%信頼区間は2.8-8.5ヶ月)だった。Grade 3 / 4の有害事象の主なものは高血圧(11人、58%)、下痢(2人、11%)、発疹(3人、16%)、乾皮症(1人、5%)、心電図上のQT延長所見(2人、11%)だった。

 

結論:

 RET遺伝子再構成陽性進行非小細胞肺がん患者において、vandetanibは臨床的抗腫瘍活性を示し、安全性の観点からも十分に対処可能だった。RET遺伝子再構成は非小細胞肺がんにおける分子標的治療の対象の一つと考えてよい。