・RET融合遺伝子陽性肺がんに対するlenvatinib単剤治療の第II相試験・・・ややインパクトに欠けるか

 こちらは、RET融合遺伝子陽性肺がんに対してlenvatinibを用いた第II相試験です。

 奏効割合16%とややインパクトに欠けるうえ、毒性が高い印象です。

 RET融合遺伝子陽性肺がんに対する他の薬の開発状況を見る限り、lenvatinibの出番はなさそうです。

 

 

 

A phase 2 study of lenvatinib in patients with RET fusion-positive lung adenocarcinoma

 

Toyoaki Hida et al., Lung Cancer. 2019 Dec;138:124-130.

doi: 10.1016/j.lungcan.2019.09.011. Epub 2019 Sep 16.

 

背景:

 非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬治療に関連して治療成績が向上したにもかかわらず、いまだ多くの患者は治療に対して反応しない。それゆえ、非小細胞肺がんの患者においては、いまだに分子標的治療に関するアンメットニーズが存在する。RET融合遺伝子は非小細胞肺がんにおけるドライバー遺伝子変異として同定された。lenvatinibは血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1-3、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1-4、RETおよびその他の分子標的と、複数のチロシンキナーゼを阻害する薬である。今回の臨床試験では、RET融合遺伝子陽性肺腺がん患者を対象に、lenvatinibの安全性と有効性を検証した。

 

方法:

 今回のオープンラベル多施設共同第II相試験では、RET融合遺伝子陽性肺腺がん患者に対して24mg/日のlanvatinibを経口投与した。主要評価項目は治療担当医によるRECIST ver.1.1に沿った判定での奏効割合とした。副次評価項目は安全性、忍容性、無増悪生存期間、全生存期間とした。

 

結果:

 536人の患者をスクリーニングし、25人のRET融合遺伝子陽性患者(KIF5B-RET融合遺伝子が13人、CCDC6-RET融合遺伝子が12人)を同定しlenvatinibを投与した。奏効割合は16%(95%信頼区間は4.5-36.1%)だった。2016年2月3日のデータカットオフ時点で、無増悪生存期間中央値は7.3ヶ月(95%信頼区間は3.6-10.2ヶ月)で、生存期間中央値は未到達だった。奏効持続期間もデータカットオフ時点では推定不能だった。全ての患者が有害事象を経験していた。23人(92%)の患者でGrade 3以上の有害事象を認め、6人(24%)は有害事象により治療を中止していた。主な有害事象は高血圧(68%)、嘔気(60%)、食欲不振(52%)、蛋白尿(48%)だった。

 

結論:

 lenvatinibはRET融合遺伝子陽性肺腺がん患者に対して抗腫瘍活性を示した。奏効割合は相対的に低かったが、無増悪生存期間中央値はそれなりに長く、この患者集団に対するlenvatinibの活性を支持していると考えられた。