・RET融合遺伝子肺癌に対するもうひとつのvandetanib第II相試験・・・韓国から

 LURET試験と時期を同じくして結果が報告された、RET肺がんに対するvandetanib投与第II相試験、韓国から。

 LURET試験に比べて患者背景が異なる、RETの確認方法が異なる、奏効割合が低いなど、学会発表当時はいろいろと取り沙汰されました。

 RET陽性肺がんに対するvandetanib、果たして未来はあるのでしょうか?

 ・・・残念ながら、ないでしょうね。

 とはいえ、RET肺がんに対する分子標的薬の初期の臨床試験として、歴史的な一里塚であることは間違いありません。

 

 

Vandetanib in pretreated patients with advanced non-small cell lung cancer-harboring RET rearrangement: a phase II clinical trial

 

S-H Lee, et al., Ann Oncol. 2017 Feb 1;28(2):292-297.

doi: 10.1093/annonc/mdw559.

 

背景:

 非小細胞肺がんの約1%で認めるとされるRET遺伝子再構成は、ユニークなサブセットである。我々は、RET遺伝子再構成陽性肺がん患者を対象に、vandetanib 300mg/日の治療について有効性と安全性を検証するために本試験を行った。

 

方法:

 オープンラベル多施設共同第II相試験として本試験を企画した。FISHで確認されたRET遺伝子再構成陽性の進行もしくは術後再発非小細胞肺がん患者で、プラチナ併用化学療法後に病勢進行に至り、PSが0-2に保たれているものを対象とした。主要評価項目は奏効割合とした。

 

結果:

 2013年7月から2015年10月の期間に18人の患者を登録した。年齢は35-71歳、3人はPS 2だった。ほとんどの患者は濃厚な前治療歴を有していた(72%の患者で、2レジメンの異なる化学療法が既に行われていた)。17人の評価可能患者のうち、部分奏効(PR)は3人(したがって奏効割合は18%)、病勢安定(SD)は8人(したがって病勢コントロール割合は65%)だった。PRもしくはSDの患者11人において、6ヶ月以上PRもしくはSDを維持した患者は8人だった。経過観察期間中央値14ヶ月の時点で、無増悪生存期間中央値は4.5ヶ月、全生存期間中央値は11.6ヶ月だった。安全性は、過去に施行されたvandetanib関連の臨床試験と大差なかった。vandetanibに関連した有害事象で頻度の高かったものは高血圧と皮疹(参加患者全体の70%以上)だった。Grade 3以上の毒性には、高血圧(3人)、QT延長(2人)、肝逸脱酵素異常(1人)で、vandetanib投与量減量を要した患者は4人いた。Grade 4 / 5に至るような有害事象は認めなかった。

 

結論:

 vandetanibはRET遺伝子再構成陽性の既治療進行非小細胞肺がん患者に対してまずまずの効果を示した。