・@Be study、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法第II相試験

 PD-L1発現≧50%、ドライバー遺伝子変異なし、ベバシズマブ使用可能、未治療進行非扁平上皮非小細胞肺がんの患者を対象にアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法の有効性と安全性を検討したシングルアーム第II相@Be studyの結果が、2021年の日本臨床腫瘍学会総会で公表されていました。

 主要評価項目を満たし、第III相試験での検証を検討するとのことです。

 

 当然、この患者集団では、ペンブロリズマブ単剤療法との比較が必要です。

 http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e986810.html

 奏効割合は同等、無増悪生存期間はアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法の方が優れていそうですが、全生存期間についてはアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法の1年生存割合とペンブロリズマブ単剤療法の2年生存割合が同等です。乱暴な言い方になることを承知で敢えて言えば、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法を受けた場合、ペンブロリズマブ単剤療法を受けた場合よりも半分しか生きられないということです。

 ベバシズマブを上乗せしている分だけ、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法の方が有害事象的にもコスト的にもmore toxicであり、対象患者の範囲もより狭められることを考えると、果たして第III相試験を計画する意義があるのか、疑問です。

 

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 そして、発表の中で最も興味深かったのは、最後の質疑応答の内容でした。

 発案された先生は、免疫チェックポイント阻害薬+抗VEGF抗体併用というコンセプトを考え、各製薬会社に提案したとのことです。

 ペンブロリズマブを扱うMSD社にペンブロリズマブ+抗VEGF抗体療法を提案するも受け入れられませんでした。

 抗VEGF抗体を扱う中外・Rocheにペンブロリズマブ+ベバシズマブ療法を提案するも受け入れられませんでした。

 中外・Rocheは、アテゾリズマブ+ベバシズマブ療法だったら、結果が早く出るような試験デザインだったら考えるよ、との回答だったとのことで、@Be studyが誕生したそうです。