知人の先生から頂いたメモをもとに、もう一度ワークショップのおさらいです。
まとめるのにやたら時間がかかってしまいました。
第31回日本肺癌学会ワークショップ 2016.7.2
分子標的治療の新たな展望
<EGFR-TKIの歴史と新たな展望>
歴史と6つの教訓
?すべての肺癌は同一でない、患者選択が必要
・2004年12月までに薬剤性肺障害の報告1400件、死亡500人程度
・裁判にもなった
?すべての薬は潜在的には毒である
・Dana Farber kinase geneの網羅的解析
・Willam Pao 2004 、もう一人全部で3人
・Kosaka cancer Res 2004 喫煙とrasの関係
?がんゲノムががんの表現型を決めている
・FISH+とammplificationは違う、high polysomyは染色体全体のaneuploidyを見ているだけでEGFRの活性化は見ていない
・IPASSはあくまでサブセット解析
・耐性:T790M 2013.3-オシメルチニブ AURA P1,AURA2 奏効割合66%、無増悪生存期間 11ヶ月 ?さらに耐性C797S変異が出現
・実地臨床をしながら次の研究課題を見つける
すごく効いた、効かなかった、すぐ亡くなったなど ?臨床データや検体の保管も大事
<T790M liquid biopsyの現状と課題>
・正常細胞のDNAも含まれるが、主にnecrosisのDNA
・血漿分離?DNA抽出?血漿遊離DNA 4μl(がん患者は遊離DNAが多い)? MBP-QP、
・Nakamura T JTO 2011 wildとmutant(66℃)の2峰性、感度0.3%
感度 必要血漿量(μL)
BEAMing 0.01% 400
MBP-QP 0.1 20
ddPCR 0.05-0.5 20-80
・HASAT study Cancer Sci 2015 Sueoka-aranane N
血漿遊離DNAでT790Mを測定する ?plsasma T790M がPDと一致するか
2nd T790Mは組織と一致しているか(実際は再生検は難しかった)
N=89, T790Mは 23/58(40%)同定できた。T790M陽性例は以後の予後が悪かった。
+は肺以外のPDが多く、-は肺内のPDが多かった。
・Li W Lung Cancer 2014, Yu Ha CCR?血漿T790M+は予後悪い
Liquid biopsyは遠隔転移を反映する可能性。2015.日本癌学会 東京大学油谷先生
・血漿と組織の一致率は50%程度。再生検は6人のみ
・Sundaresan TK CCR 2015 T790Mの一致率は50-60%程度
・Sundaresan TK WCLC 2015 biospy/CTC 57%, biopsy/ctDNA 60%, 両方65%
・2回以上生検すると一致率上がる(腫瘍のヘテロジェナイティー)
・Nature Med 2016, Hata T790Mは最初少し。Early PDはT790M多い、ゆっくりは別の機序EMT-related genes up regulationなど
・今後:第三世代TKIの予測におけるp DNAの有効性
・JTO 2015 oct cobas v2はp DNAでT790M 50%程度
・Thress KS Lung cancer 2015,
・Oxnard GR JCO 2016
pDNAのT790Mと奏功割合の報告
?再生研との使い分けLiquid biopsy- ?Re-biopsy
?検査法とカットオフ値の問題
・Heterogenityがあるので、厳密な感度は難しい。
<Re-biopsyの現状と課題>
・Rebiopsyの意義、
Yu HA ASOC 2016 #19053 NGSでco-mutationを検出。最初からSCLCの変異がある?
・MET ASCO2016 #9020 Gefi+MET阻害剤(Capmatinib)、いまErlo+T790M on going
・Nosaki K 日本肺癌学会2015 N=400くらい。日本におけるre-biopsyの実際
・Exon 19 delでは病勢進行時にT790Mを起こしていることが多いかも
・Kawamura T Cancer Sci 2016、re-biopsyの実施率50%程度(静がん)
活動性、安全性、確実性、迅速細胞診の活用、他科との連携が大事
・Tan DSW JTO 2016. 検出はcobas法だけでいいのか?EGFR以外調べることも大事かも
・JSMO2016 で細胞診検体を用いたT790Mの検出のデータがでる予定
・今後はrequid biopsyの活用とそのほかたくさんの遺伝子変異を
・TKIの治療歴が長いとT790Mの誘導が多いかも(ASCO 2016,愛知がん?)、
・がんセンター東:後藤先生 長いとT790Mでやすいかも
<Re-biopsyの現状と課題>
・NEJM 2013:368:842-51 cancer is the polyclonal
・Yong Wang Science? 乳がんの患者、一つのがんでたくさんのmutationがある。
・Lung Cancer 2014, rebipsy いろんな遺伝子変異が出てくる
・Nata Cancer 2013, reiopsy of NSCLC 胸部からも半分でcytologyでT790M
・肺からの生検が減る理由: 縮小、線維化、TBLBによるものは乾燥によるアーチファクト(とったらすぐに保存液にいれることが大事!!)、異型の消失など、転移病変は気道と関連性低い
・大事なこと
?大きな組織をとる(ガイドシースは検体小さい)
?病変の中心は線維化や壊死の率が高い(辺縁部のほうが腫瘍細胞が多い)
?乾燥させない
?数多くとる 3-5個くらい
?TKI治療歴があることを病理医に伝える。
<ROR1による肺腺癌にリネジ生存シグナル伝達とカベオラ形成を標的としたEGFR-TKI体耐性の克服>
・Thyroid Transcription Factor-1(TTF-1):転写因子、肺の発生に関わっている
・TTF-1は肺の発生段階で、terminal respiratory unit(TRU)で高発現している
Yatabe et al, AJSP 2005
Takeuchi et al, JCO 2006
・Cancer Res 2007 Linege Specific Dependency of Lung----TTF-1とがんの生存
Ongogene addiction-EGFR mutation,
Lineage addiction-TTF-1 in lung adeno MTIF- in meralnomaなど
・Yamaguchi et al, Cancer cell 2012 ROR1 knockdown induces growth inhibiton and apoptosis in lung adeno
TTF-1刺激により発現が亢進する下流シグナルとして、ROR-1を同定した
・Arima C and Kajino T Carcinogenesis 2014 Prediction of a gene-regulatory network engaged in tumor tissuer ROR1が生存に関係
・EGFR-mediated signaling onto PI3K
ROR1 knockdown abrogates EGF induced prosurvival signaling through ERBB3
ROR1の発現を減らすと、ROR1はEGFの刺激でEGFRと結合して生存していく
・Ida L Cancer Sci 2016
ROR1発現は、p38を抑えてアポトーシスを抑制する
ROR1がASK1を抑制、ASK1はMKK3/6を介してp38を刺激し、結果としてアポトーシスを誘導する介在タンパク
?ROR1は生存シグナルとアポトーシスのシグナルに関係する
・TTF-1?MYBPH?ROCK1、NM-?A
・HGF or IGF overexpression as a resistanse yano S Cancer Res 2008
・ROR1の発現を抑えると様々な活性化を抑制する、
・細胞膜に発現しているカベオラ(Caveola) というくぼみがある
・カベオラは正常細胞ではフォスファチジルコリンにより維持されているが、がん細胞ではROR1が維持している
・カベオラには分子標的となる膜蛋白が集積する
・Parton RG Nat Rev Mol Cell boil 2013 ROR1発現を抑制するとカベオラが減少する
・ROR1発現を抑制するとカベオリン(CAV1)発現を抑制。
・Loss of cavin1 from caveola ROR1とcavin1やCAV1が結合する
・ROR1はカベオラにも存在し、CAV1やcavin-1と結合する、そして細胞表面にあるEGFRやMET,などの受容体型チロシンキナーゼの安定化につながる
・Proc Nati Acand Sci 2008
白血病の標的分子としてのROR1
・ROR1↓でEGFR、METのシグナル↓、 HGF ,IGR overepression↓、
・Yamada T CCR 2010、Yano S Canner Res 2008
・Yamaguchi Nature Commun 2016
Win Whac-A-Mole of EGFR-TKI resistance by targeting ROR1
ROR1を抑えれば様々は耐性機序の克服に役立つかもしれない
受容体型チロシンキナーゼすべてに関係しているわけではない
カベオラの形成にROR1が必要
ROR1がなければカベオラができないのでがん細胞は増殖できない
正常細胞でもカベオラはあるが、ROR1は正常では発現していないので、ROR1を抑えれば正常細胞にあまり影響を与えない
TTF1発現していればROR1も発現する
乳がんなどそのほかのがんにもROR1はある
EGFR-mutationをもっていてもwildでもROR1が抑制する
白血病の分野ではROR1を抑える抗体医薬や分子標的薬を用いた臨床試験が進行中
<Immune checkpointの基礎と臨床>
基礎:がん免疫療法の課題と対策、将来展望
・PD1:PDL1,PDL2 PD-L1:PD1,CD80と免疫チェックポイント分子同士の関係は、1対1の関係ではない
・腎がんではNivolumab vs Evelorimus でPD-L1−でもNivolumab効果良好
理由は?病理でのcutt offの問題などか?
・Hodikin lymphomaに対し抗PD-L1抗体陽性だと、わずか23人が参加した臨床試験ながら奏効割合87%(完全奏効 17%, 部分奏効 70%)
NEJM 2015 372:4
?ホジキン・リード・シュテルンベルグ細胞にPD-L1/L2タンパクが高発現している
・尿路上皮がんに対し、AtezolizumabがFDA承認済み
Rosenberg et al, Lancet 2016;387:1909-20
IC2/3:PD-L1 positive cell>5%がgood
High IC score = high CD8浸潤(TIL)=high chemokine=効果高い
・オプジーボ:米国では悪性黒色腫、非小細胞肺がん、腎細胞癌、ホジキンリンパ腫で適応取得済み
・キートルーダ:米国では悪性黒色腫、非小細胞肺がん、尿路上皮がんで適応取得済み
・免疫チェックポイント阻害薬の課題:
?atypical response, pseudo progression, irRECIST
これまでの治療効果判定基準が役に立たない
Walchok et al, JCO 34, 2016
→悪性黒色腫の治療において、327人中24人(7%)でpseudo-progressionが観察された
?irAE:免疫関連有害事象
これまでの治療薬では見られなかった副作用プロファイル
間質性肺炎、腸炎、内分泌障害、肝障害、皮膚障害、I型糖尿病、重症筋無力症
我が国におけるオプジーボ市販後調査で、6346人中551人(8.9%)でGrade 3以上の重篤な有害事象の報告あり
?バイオマーカーの問題: Schumacher TN Science 2015 mutation road(burden)
体細胞変異が多いほうが免疫チェックポイント阻害薬が効きやすい
Dung Le ASCO 2015
大腸がんの領域では、Mismatch-repair deficiency?MSI highだと効果高い
Science March 25 2016 Clonal neoantigens elicit T cell immune activity
変異たんぱくに由来するneoantigenにおけるintra-tumor hetelogeneity(ITH)が大切
?これがあるとプライミングが起こり効果が高いのでは?
?免疫チェックポイント阻害薬同士の併用もしくは分子標的薬と免疫チェックポイント阻害薬の併用
悪性黒色腫のPD-1抗体+CTLA4抗体 Larkin J NEJM 2015
PD-L1+では単剤、-では併用がよい
つまり腫瘍組織にPD-L1が発現せず、リンパ球浸潤がない場合は
まず抗CTLA-4抗体投与?TILの浸潤?IFN-γ(炎症性サイトカイン)の賛成?PD-L1発現の誘導?PD-1抗体?抗腫瘍効果
免疫抑制を防ぐ:PD-L1,MDSC,抑制性サイトカインなど様々な要因がある
共刺激因子:抗CTLA4抗体、抗LAG3抗体(抗原提示細胞側)、抗CD137抗体・抗PD-1抗体、抗OX-40抗体・抗PD-L1抗体(腫瘍細胞側)
Wallin et al, AACR 2016 FOLFOX+アバスチン+Atezorizumab phase IB試験
9人中3人において、15ヶ月以上の無増悪生存が確認された
・「いかに腫瘍反応性T細胞を活性化するか」から「いかに腫瘍反応性T細胞が抑制されないようにするか」というパラダイムシフトが起こった
・PD-1にはPD-L1,PD-L2の2つの対応するリガンドがある
・PD-L1にはPD-1とCD80の2つの対応するリガンドがある→PD-1とCD80を同時にブロックする治療戦略
・neoantigen, Nature 2014
6-8ペプチドの単位に切断されて、HLA上に抗原提示されて、T細胞受容体に認識される
ペプチドのどの位置に遺伝子変異が入っているかでHLAとの親和性やペプチド-HLA複合体とT細胞受容体の親和性が変化し、これによりneoantigenとしての抗原性の強さが変わってくる
<免疫チェックポイント領域における基礎と臨床−病理診断の意義>
・T細胞の活動を妨げる機序は、4つくらいのパターンになる
解剖学的バリア(線維化、脳・血液関門など)
Deletion(FasリガンドでT-cellのアポトーシスを誘導する)
Inhibition(CD152刺激で、T cellはあるが活動しない状態にする、腫瘍によるPD-L1刺激)
Suppression (regulatory T cell)
・腫瘍間質において形質細胞が比較的多く見られる(もしかしたらT-cellをブロックしているかも)、ラッセル正体
・CD4+/PD-1+のリンパ球?CD8リンパ球(TIL)を呼び寄せる
・Scientific Reports, Regulatory B cell-
腫瘍近くのBリンパ球をとってきて、マウスに移植すると腫瘍が増える =T cellの働きをブロックするのでは
?リツキサンなどでB cell抑えるのもいいかも
・PD-L1 as abiomarker of immunotherapy?
Kerr et al., JTO 2015
・評価は細胞膜のみ、細胞質は評価しない
乳がんにおけるHER2と同じ
マクロファージも染まってしまうことが問題
・抗体・評価法がそれぞれ異なる
cut off値も異なる
cut off値が1%とかに低くなると非常に難しい
気管支鏡検体は小さいため評価が難しい
・Thorac Oncol 2014:9:144-153
PD-L1の発現は治療経過で異なる
発現が減ったり、増えたり
→治療が変更になるたびに何度も再生検をするのか?
・抗体の違いで、陽性 / 陰性はほとんどないが抗体によって陽性度が異なる
Aberrant PD-L1 expression through 3-UTR disruption …
Cut off値が非常に難しい
・Charlotte Roach et all:Development of?
コンパニオン診断薬 22C3(キートルーダのコンパニオン診断薬):報告では一致率はほぼ100%?しかし一般的には一致しないのでは
病理の標準化は非常に難しい(Authorityの発現は尊重される傾向がある)
検者によってでPD-L1発現頻度の評価(スコア)が異なる
TBLBの検体の場合、クラッシュしていて膜が染まっているのか分からない場合がある
同じ患者さんでもheterogeneityがある。
?細胞診検体やcell block検体の方が、細胞の形をそのまま確認できてよいかも(エビデンスの構築は必要だが)
・JAMA oncology 2015 部位によって、同一組織内でもPD-L1の染まり方が異なる(heterogeneityがある)
CD68(マクロファージ)、PD1, CD8(killer T),CD4(helper T)
・Edwin R parra 最近パブリッシュされた?
腫瘍内浸潤リンパ球とPD-L1
CD4,CD8,CD68:マクロファージとPD-1
免疫担当細胞がいないと予後が悪い
・今後の課題
IHCスコアの標準化
ICたんぱくの半減期などを調べる
細胞質内のPD-L1発現の意義を調べる
<免疫チェックポイント領域における基礎と臨床:治験経験と臨床成績>
・肺がん領域で臨床開発中の免疫チェックポイント阻害薬
IgG4クラスはADCC活性なし
IgG1クラスはADCC活性あり
ADCC活性があると、そのモノクローナル抗体(この場合は免疫チェックポイント阻害薬)が結合した細胞が免疫担当細胞に攻撃される
engeneered IgG1クラスの抗体は、遺伝子工学でADCC活性を下げて、抗PD-L1抗体が結合したリンパ球が攻撃されないようにしている
・一般に、免疫チェックポイント阻害薬単剤治療の奏効割合は10-20%前後、一部の患者さんでは長期的な効果が認められる
・免疫チェックポイント阻害薬以外で二次治療が有効だったものたち
・免疫チェックポイント阻害薬臨床試験結果の比較
・2年生存割合はCheckMate-017では23%、-057では29%、-057では長期効果は望めなさそうな生存曲線(ASCO 2016)
・悪性黒色腫は免疫関連有害事象がひどいと効果的という報告があるが、果たして肺癌では?
・オプジーボに関する国内臨床試験、以下の有害事象で治療中止となったのは全て男性
ONO-4538-05(扁平上皮癌):間質性肺炎で5%、内分泌障害で11%が治療中止
ONO-4538-06(非扁平上皮癌):間質性肺炎で15%、内分泌障害で14%が治療中止
・がん研有明病院には、33ヶ月もオプジーボが効き続けている患者さんがいる
左肺下葉原発、縦隔リンパ節転移あり
→初回治療はシスプラチン+タキソテール+同時併用胸部放射線照射
→右肺上葉転移、肝転移で病勢進行
→カルボプラチン+タキソール+AMG706
→病勢進行
→2013年10月からオプジーボ開始
→6週間後のRECIST評価で病勢進行
→12週間後のRECIST評価で完全奏効
→副腎不全のため治療中止
→その後も完全奏効の状態を維持している
・抗PD-1分子標的薬(小分子化合物)も2015年から登場しているが、甲状腺機能低下症が問題となっている
→甲状腺ホルモンを補充しつつ治療を継続する
・現在進行中の免疫チェックポイント関連臨床試験
・KETNOTE-024はプレスリリースで無増悪生存期間、全生存期間ともに、プラチナ併用化学療法に比べて有意に延長したと報告された
・免疫チェックポイント阻害薬と治療効果予測因子
PD-L1発現状態
EGFR遺伝子変異
喫煙状況
・Sequist, Shaw et al, Clin Cancer Res 2016
EGFR Mutations and ALK Rearrangements Are Associated with Low Response Rates to PD-1 Pathway Blockade in Non-Small Cell Lung Cancer (NSCLC): A Retrospective Analysis.PMID 27225694
奏効割合はEGFR遺伝子変異 / ALK再構成陽性 vs 陰性:3.6% vs 23.3%, 非喫煙者 vs 喫煙者:4.2% vs 20.6%
KRASやTILの関係もしらべている
・T細胞 HOT tumor:腫瘍浸潤リンパ球が多い腫瘍、悪性黒色腫など、PD-1抗体単剤でも有効
・T細胞 COLD tumor :腫瘍浸潤リンパ球が少ないかない腫瘍、まずはCTLA4抗体でリンパ球を刺激しつつPD-1抗体を使う
・PD-1抗体の耐性:TIM3蛋白の誘導
→TIM3抗体で克服:Nature communication, 17 feb 2016
★Adaptive resistance to therapeudic PD-1 blockade is associated with upregulation of alternative immune checkpoint
・抗OX40抗体 (Utomilumab):regulatory T cellを標的とする
間質性肺炎合併の報告など多かった
Utomilumab+Pembrolizumab ASCO 2016, 意外と有害事象が軽く、有効だった
・抗CD137抗体
・Chen 2013 今後の展望
2015 2nd lineでエビデンス構築
2016 1st lineへ拡大
2017以降 併用療法へ拡大---chemo+PD-1orPD-L1,+ICI、+EGFR-TKI or ALK-TKIなど
<Immune checkpoint inhibitorの使いどころとマネージメント>
・サブセット解析:Smokinigなし、EGFR-mutationはDTXと比較して分が悪い
・CheckMate-017の2年生存割合:オプジーボ23%, タキソテール8%
・CheckMate-057の2年生存割合:オプジーボ29%, タキソテール16%
・KEYNOTE010試験でも、EGFR遺伝子異常があるとDTXが良好な傾向。十分な効果は期待しにくい?
?しかし中には効く患者さんもいるので、EGFR-mutation+のどういう人が効果あるかという検討が必要
・WJOG8515L(第II相試験) sEGFRm(+),T790M(-),TKI-PD後の患者さんを対象に、オプジーボ vs カルボプラチン+アリムタがongoing
・有害事象:非免疫有害事象の頻度は低い
・免疫関連有害事象:IP 海外で4.1%(Grade 3以上は1.5%), 国内では7.2%(Grade 3以上は3.6%)で国内高そう。
・国内市販後調査(2015.12.17-2016.5.4)
間質性肺炎発症 2.9% (134/4593),7割が4週間以内に発症
死亡率0.3%(14/4593)、まだfollow upが短いので注意が必要
・ASCO 2016 #9030 間質性肺炎の画像、エール大学でPD-1抗体、PD-L1抗体が使用された後に間質性肺炎を発症した25人を分析
type1:浸潤影:13人
type2:スリガラス陰影:10人
type3:結節状陰影:1人
mixed type:1人
19人がステロイド投与を受けた
16人で後に陰影が消失した
ステロイド治療中央値61日(24-275)、画像上完全寛解までの中央値 78日(10-102日)
再投与9人で5人再燃、1人は再投与から51日目に死亡
間質性肺炎を発症した25人のうち、13人(52%)が効果あり
無増悪生存期間中央値は8ヶ月、生存期間中央値26ヶ月と予後がよいかもしれない
5人は治療中止後もdurable respose(12ヶ月、28ヶ月、30ヶ月、35ヶ月、47ヶ月)
・Cancer Immunology Research, online first, Feb 10,2016, Pneumonitis flare
→オプジーボ投与後に器質化肺炎様の間質性肺炎が出現、ステロイド投与終了後4w後に再燃、PSL再投与で改善
・Peri-Tumoral pneumonitis Nakashima JTO 、ひょっとするとリンパ球浸潤を間質性肺炎としてとらえたかも
九大病院でも同様の症例あり
オプジーボを中止しても腫瘍縮小している
・TATTON試験 PD-L1抗体(Duralumab)+タグリッソ、間質性肺炎発症頻度 38%(13/34)、日本人では6 / 10(60%)
実地臨床でもオプジーボ→タグリッソ、タグリッソ→オプジーボ、オプジーボ→放射線治療で間質性肺炎発症率が高まる可能性あり
・副腎機能不全
・1型糖尿病:検尿してケトンないかなど・・
・重症筋無力症:複視、眼瞼下垂、嚥下障害、構音障害、四肢近位筋麻痺、呼吸筋麻痺
抗AChR抗体
Gr2の下痢が5日以上続けばプレドニゾロン
Gr3以上はステロイドパルス療法
感染を除外してからステロイドが理想的だが(偽膜性腸炎、CMV腸炎の除外)
腹部の単純CTで腸管浮腫の評価
大腸カメラも(穿孔なしを確認して)
・九大病院ではチームICIsを組織
呼吸器、皮膚、腫瘍内科、泌尿器科、内分泌・糖尿病、消化器内科・神経内科などで合同カンファレンス
月1回症例報告や勉強会している。
・TSH,fT4を月1回、B肝、HTL-V1、薬剤部でのチェックシート
(重症筋無力症、糖尿病、間質性肺炎、大腸炎の症状を書いてわかりやすいものを患者さんに渡す)
・2015.12.17 メーカーからの要請、オプジーボ使用をさけてほしい患者背景
PS3-4、間質性肺炎合併や既往、自己免疫疾患、活動性の放射線肺炎や感染性肺炎
・健常人における抗核抗体陽性率 40倍 32%,320倍 3%
Tan EM Arthritis Rheum 1997
・抗核抗体 640倍の患者がおり、抗体フルスクリーニング、SS-A抗体陽性→診断基準ではシェーグレン症候群の基準なし
→九大病院では抗核抗体160倍以上であれば膠原病内科受診、ルーチンでRFや抗核抗体測定している
西尾先生のところでも抗核抗体測定している
・高齢者に対するNivo ASCO 2016 #10010 N=1030
65歳未満:616人、65歳以上:414人
Gr3以上の有害事象は若年者と変わらない