肺癌取り扱い規約の改訂

 先般、日本肺癌学会総会が福岡市で開催された。 

 3日間、ほぼ朝から晩までずーっと勉強だった。

 レポート用紙が5-6冊、メモで埋まってしまった。

 興味深い話題は様々あったが、肺癌に関わる全ての人に一番影響が大きいのは、肺癌取り扱い規約が改訂されたことだと思う。

 肺癌取り扱い規約は、日本で肺癌を取り扱う際のルールブックだ。

 肺癌の検診、診断、手術、病理診断のあたりまでを扱い、薬物療法や遺伝子変異についてはあまり言及されていない。

 したがって、呼吸器内科、呼吸器外科、放射線科の医師にとっては必読の書で、常に外来・病棟やデスクに置いておきたい書籍だ。

 2017年1月1日から、国際的なUICC-TNM分類が改訂、運用されるが、我が国では今回の肺癌取り扱い規約第8版に準拠して診療を行うことで、自動的に改訂UICC-TNM分類にも対応できる。

 改訂まであと10日間もない。

 恥ずかしながら、今回の学会で耳にするまでは、改訂時期がこんなにも迫っているとは知らなかった。

 そして、昨日大学に行って若手医師たちと話をしてみると、誰も改訂のことを知らなかった。

 危機感を感じて、真っ先にここに取り上げた。

 しつこいようだが、本書は肺癌を取り扱う上でのルールブックだ。

 裏を返せば、ルールブックを知ることなしに、肺癌を取り扱うことはできない。

 価格は6,700円と、専門書の中では決して高くない。

 肺癌診療に必要なminimal essenseが凝縮されている。

 

 専門的な内容が多いため一般の方にはあまり勧めないが、肺癌に関わる医療従事者には必携の書だ。

 これを読んだら直ちに駆け出して、買いに行くべきだ。