免疫チェックポイント阻害薬導入によるパラダイムシフト

第57回日本呼吸器学会総会 2017年4月21日

ランチョンセミナー1

<免疫チェックポイント阻害薬導入による進行非小細胞肺癌治療体系のパラダイムシフト>

・腎細胞癌右胸壁転移に対して免疫チェックポイント阻害薬を使用したところ、右胸水が急速にたまってきて、呼吸器内科に相談があった症例の提示

→胸水を採取して調べたところ、リンパ球上にPD-L1とTIM-3が高発現していた

→tumor infiltrating lymphocyte(TIL)には特異的にTIM-3が発現する

→胸水をコントロールしたところ、胸壁転移は良好にコントロールされていた

KEYNOTE-024試験→腫瘍細胞の50%以上がPD-L1を発現していたら、Pembrolizumabの初回治療でプラチナ併用化学療法より生命予後が延長する

・もはや、非小細胞肺がん患者全例でPD-L1発現状態を調べなければならない時代になった

KEYNOTE-010試験

 既治療非小細胞肺がんに対するPembrolizumab療法が、ドセタキセルよりも生命予後を延長する

EUのPembrolizumab適応拡大時の参考データ

KEYNOTE-010試験において、PD-L1発現率1-49%の患者では、扁平上皮癌ではPembrolizumabとドセタキセルで有意差なし、非扁平上皮癌ではPembrolizumab優位

・CheckMate-017試験

・CheckMate-057試験

・ONO-4538-06試験→Nishio et al., ESMO 2016

 日本人ではPD-L1陽性患者の方が奏効割合が高い

EU Nivolumab assessment report

 PD-L1>50%ならNivolumabの奏効割合は41%

 PD-L1 1-49%ならNivolumabの奏効割合は19%

・Melanomaの患者では、Ipilimumab投与後の10年生存割合は20%

 Nivolumab投与後の5年生存割合は30%以上

・Brahmer et al., AACR 2017

 Nivolumabの第I相試験において、5年生存割合は16%だった

 PD-L1発現>50%の患者では5年生存割合は43%

 PD-L1発現が1-49%の患者では5年生存割合は23%

 PD-L1発現が1%未満なら5年生存割合は20%

・非小細胞肺癌患者に対するPD-L1阻害薬の継続投与vs一定期間治療後休止の第II相試験がJCOGで計画段階にある

 対象患者数は300人規模、PD-L1阻害薬治療により効果が認められた患者が対象

・高齢者に対する免疫チェックポイント阻害薬

 JCOG1210/WJOG7813L intergroup trial

 75歳以上の非扁平上皮・非小細胞肺癌患者を対象に、CBDCA+PEM→mPEM vs DOCの第III相試験

 CAPITAL試験

 70歳以上の非小細胞肺癌患者を対象にCBDCA+nabPTX vs DOCの第III相試験

 以上の結果を踏まえつつ、高齢者を対象としたNivolumab一次治療の臨床試験を計画中