免疫チェックポイント阻害薬による術後療法の臨床試験は身近なところでも進められている。
しかし、術前治療については見たことがない。
治療というより、基礎研究の手法として、研究者にとっては興味深いところだろう。
術前に腫瘍組織と血液を採取して、薬を投与して、その後に手術をして、腫瘍組織と血液を再度採取する。
これによって、薬を使う前後でどんな変化が出ているのかを見る。
2週間に1度点滴しなければならないというのは、ニボルマブのつらいところだった。
しかし、規定の治療コース数を短期間で終えて手術につなげるという意味では、かえって有利かもしれない。
<切除可能非小細胞肺癌に対する、術前ニボルマブ療法のパイロット試験>
By Matthew Stenger
Posted: 4/18/2018 7:24:11 PM
Last Updated: 4/18/2018 7:24:11 PM
2018年のAACR年次総会(Abstract #CT079)において、切除可能な非小細胞肺癌患者に対する術前ニボルマブ療法は、忍容可能で治療効果も高いことが示された。学会発表と前後して、N Engl J Med紙上にも公表された。
Johns Hopkins大学とMemorial Sloan Ketteringがんセンターにおいて、未治療・切除可能なI期、II期、IIIA期の非小細胞肺癌患者21人が、投与開始から約4週間後の手術を前提として、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに投与された。
21人中、20人の患者が2コースのニボルマブ投与を受けた。2コース目のニボルマブ投与から手術までの期間中央値は18日(11-29日)だった。治療に関連した有害事象は5人(23%)で認められ、Grade 3以上の高度有害事象は1件のみだった。
切除された21人のうち、20人は完全切除された。病理学的奏効は9人(45%)で、主病巣完全奏効は3人(15%)で認められた。主病巣完全奏効3人のうち、肺門リンパ節には腫瘍が残存していた患者が1人いた。治療効果は、PD-L1発現状態によらず認められた。術後観察機関の中央値は12ヶ月(0.8-19.7ヶ月)、16人(80%)は無増悪生存中だった。
完全切除され、なおかつ腫瘍サンプルの全エクソン遺伝子解析を行った11人において、tumor mutational burdenの平均値は病理学的奏効が得られた患者で有意に高かった(311 vs 74, p=0.01)。tumor mutational burdenとPD-L1発現状態の間には有意な相関はなかった。
腫瘍細胞中、および末梢血中のT細胞数を分析した9人の患者のうち、8人ではニボルマブ投与後にT細胞の数が増えていた。病理学的完全奏効を示した患者の腫瘍内に認められていた、遺伝子変異関連がん抗原に応答するT細胞クローンは、ニボルマブ投与前と投与後2−4週間で比較すると、投与後急速に末梢血中に出現していた。