電子たばこと肺障害(EVALI)

 電子たばこと肺障害の話題は、昨年(2019年)ごろから取り沙汰されるようになった。 

 米国では規制の対象となっているようだが、我が国ではそうした動きはまだ見られない。

 New England Jourlal of Medicineに関連記事が載っていたので、軽く目を通してみた。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp1916171?query=TOC

 米国の電子たばこには、ニコチンの成分だけでなく、マリファナの主成分tetrahydrocannabinol (THC, the psychoactive ingredient in marijuana)を含むものも少なくないらしい。

 そして、問題なのは、米国の学生の間でこうした電子たばこが急速に普及していることで、実に高校生の27.5%、中学生の10.5%が電子たばこを使用しているという。

 そして、2020年の1月7日までに全米50州から2602人の電子たばこ関連肺障害(EVALI, e-cigarette, or vaping, product use?associated lung injury)が報告され、そのうち57人が死亡している。

 発症者の年齢中央値は24歳、18-34歳の年齢層が62%を占め、18歳未満が16%を占めていたということだ。

 34歳以下で全体の80%を占めるわけで、若い世代にとっての健康問題であることがよく分かる。

 気管支肺胞洗浄の検査を受けた51人のほとんどで、洗浄液からTHCが検出されたとのこと。

 

 これは、対岸の火事ではない。

 若い人たちは、友人、家族、そしてオンラインで商品を取り扱う業者から電子たばこを入手しているという。

 我が国で、こうした事態が起こらないと、言いきれるだろうか。