・免疫チェックポイント阻害薬時代の肺がん長期生存

 2019年の日本臨床腫瘍学会の備忘録です。

 まとめ切れていなかったノートを発掘しました。

 箇条書きで書き残します。

 

・ECOG1594試験:Schiller et al., N Engl J Med 2002

 プラチナ製剤+(1990年代の)新規抗がん薬併用化学療法の意義づけとなった、記念碑的な臨床試験

 1200人程度が参加

 主要な研究機関で、PS 0-1の患者を対象として行われた臨床試験だったにもかかわらず、生存期間中央値は8か月間そこそこだった

 

・実地臨床における肺がんの生存期間中央値:ACS Cancer Facts and Figures 2019

 1975年-1988年:10-12ヶ月

 2008年-2014年:20ヶ月

 

・どんな治療法なら肺がんは治るのか

 →やっぱり手術でしょう

 肺がんCT検診による早期肺癌発見・治療の臨床試験:NELSON trial

  標準検診群で発見された肺がんの病期別割合:IA期は10%、IV期は50%

  CT検診群で発見された肺がんの病期別割合:IA期は50%、IV期は10%

 

・PACIFIC試験

 対象患者全体では・・・

  デュルバルマブ群:生存期間中央値未到達、12ヶ月生存割合83%、24ヶ月生存割合66.3%、36ヶ月生存割合57.0%

  標準治療群:生存期間中央値28.7ヶ月、12ヶ月生存割合75.3%、24ヶ月生存割合55.6%、36ヶ月生存割合43.5%

 PD-L1≧1%の患者群では・・・

  デュルバルマブ群:生存期間中央値未到達

  標準治療群:生存期間中央値29.1ヶ月、ハザード比は0.53

 PD-L1<1%の患者群では・・・

  デュルバルマブ群:生存期間中央値未到達

  標準治療群:生存期間中央値未到達、生存曲線は両群で交差する

 →PD-L1陰性の患者には、デュルバルマブはお勧めできない

 

・J-ALEX試験の最新データ:ASCO2019

 ALK融合遺伝子陽性の患者に対するアレクチニブ初回投与の有効性を検証、対照群はクリゾチニブ

 ハザード比0.34(95%信頼区間は0.17-0.71)

 

・G12C KRAS遺伝子変異と分子標的治療

 

・ドライバー遺伝子変異陽性の肺がん患者には免疫チェックポイント阻害薬は無効、化学療法と併用しても無効

 

・IMpower150試験

 EGFR遺伝子変異陽性の患者でも有効だった

  無増悪生存期間中央値はABCP療法で10.2ヶ月、BCP療法で6.1ヶ月、ハザード比0.41

  生存期間中央値はABCP療法で未到達、BCP療法で17.5ヶ月、ハザード比0.54(95%信頼区間は0.29-1.03)

 肝転移陽性の患者群でも、ABCP群の方が治療経過良好だった

  生存期間中央値はABCP群で13.3ヶ月、BCP群で9.4ヶ月、ハザード比0.52(95%信頼区間は0.33-0.82)

 

KEYNOTE-189試験 

 肝転移があってもなくても治療効果あり

 

KEYNOTE-001試験

 TPS≧50%なら、5年生存割合は29.6%

 TPS 1-49%なら、5年生存割合15.7%

 

KEYNOTE-024試験の結果が更新された(Reck et al., J Clin Oncol 2019)

 

KEYNOTE-042試験の結果が更新された(Mok et al., J Clin Oncol / Lancet 2019)

 

KEYNOTE-010試験

 3年生存割合はペンブロリズマブ群で35%、ドセタキセル群で13%

 ペンブロリズマブ群において

  48人は病勢進行を迎えることなく2年間のペンブロリズマブ投与期間を終えた

  25人は病勢進行によりペンブロリズマブの投与を中止した