2019年に肺がんと診断された方々

 ルーチンワークが少し早めに終わったので、データベースを用いて簡単な実態調査をしてみた。  少し手間はかかるが、足元の実地診療のトレンドを掴むことができる。   1) 呼吸器内科で気管支鏡を行い、最終的に肺がんと診断された患者の年次推移(2014年−2019年)  この期間の患者総数は489人。  年間80人強といったところ。 2) 2019年に肺がんと診断された患者の年齢分布  簡単に、75歳未満か、75歳以上かの2群に分けてみた。  75歳未満の方が多かった。  その割に、シスプラチンが使われる機会が減った気がする。 3) 2019年に肺がんと診断された患者の性別分布  男性は女性の2倍強を占める。 4) 2019年に肺がんと診断された患者の組織型分布  患者に肺がんの組織型について説明するとき、それぞれの発生頻度は、「腺がんが50%、扁平上皮がんが30%強、小細胞がんが15%弱」と話しているが、これを見ると腺がんが58%、扁平上皮がんが15%、小細胞がんが20%と、扁平上皮がんと小細胞がんの立場が逆転している。  確かに、このところ小細胞がんと診断される患者が多かったように思う。 5) 2019年に肺がんと診断された患者の病期分布  III期とIV期で全体の70%を占める。  すなわち、肺がん患者の70%は内科治療の対象であると言える。 6) 2019年にドライバー遺伝子変異陽性と診断された肺腺がん患者のうちわけ  腺がんにおいて、EGFR遺伝子変異陽性割合24%、ALK融合遺伝子陽性割合は2%、ROS1融合遺伝子陽性割合も2%だった。  想定よりも少ない気がする。