先日亡くなった患者さんのフェアウェル・カンファレンスを行った。
以下の記事の、前半に記した患者さん。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e968813.html
その場で披露された介護福祉士さんのコメントから。
ちなみに、この患者は県外在住のほかのご家族と離れてたった一人で当院に入院していて、月に一度くらいの頻度でご家族が面会に来られる以外は、人との触れ合いは病院スタッフとだけだった。
入院当初から、ナースコールが大変多い方でした。
「どうしました?」
と聞くと、
「なんでもない」
とか、
「押しただけ」
などといった答えが返ってきて、少し持て余すタイプと感じていました。
あまりに頻回にナースコールが繰り返されるときもあり、
「苦しいときなどに押してくださいね」
とお願いしても、なかなか聞き入れてもらえずいら立ちを感じたことも正直ありました。
ある日いつものようにおむつ交換をしていると、小さな声が聞こえたので、
「なんですか?」
と聞くと、伏し目がちにしながら、
「ありがとう」
と小さな声で言われました。
そのときに、今までこの方の何を見て、何を感じ取れていたんだろうと思いました。
日々の業務をこなすことでいっぱいだったため、介護福祉士として大切なことを忘れていたように思いました。
頻回にナースコールを鳴らすその裏にある本人の気持ち、本人の背景にもう少し配慮が必要だったと思いました。
初心に戻り、患者さんを支援する気持ちを持たなくてはいけないと改めて思いました。
今後も、初心を忘れずに寄り添う介護ができるように努めていきたいと思います。
亡くなった患者さんに関する振り返りのカンファレンス、単なる業務の一環と言ってしまえばそれまでだが、なんだか詩的な、そして示唆的な薫りを感じた。
介護福祉士さんは、患者さんに最も近いところで生活の支援をする、一番大変なお仕事をしてくださっている。
患者さんの状態が進行するほど、その業務は辛くなる。
それだけに、ご自宅での家族のつらさ、苦しみを、最も分かち合うことができる職種なのではないだろうか。
このコメントを読んでいて、患者さん側にも、家族側にも、それぞれにお互いを思いやる気持ちがないと、気持ちの触れ合いがないと、患者ケアは成り立たないと感じた。
お願いして、私の担当ではない他の患者さんのフェアウェル・カンファレンスのコメントも分けていただいた。
この方は、そもそも身寄りが全くなく、長期にわたって当院に入院していた方である。
入院当時、暴言が多く、この方とどう向き合い、どう関わっていこうかと正直悩んでいました。
入院当初は、ポータブルトイレを使うことができ、自力で食事を食べることができていた方でした。
月日が経つごとに腹痛の訴えが強くなり、次第に眠りがちなことが多くなりました。
トイレに行くことができなくなり、おむつでの管理となりましたが、おむつを自分で外してしまうことが増えました。
食事を自分で摂れなくなり、食事介助を必要とする回数が増えました。
いつも腹部をおさえ、
「痛い!痛い!」
とおっしゃっていたことが、とても印象に残っています。
亡くなる数か月前から少し状態が落ち着き、私たちスタッフともかなりコミュニケーションがとれるようになったと感じていました。
おむつ交換の際など
「いつもありがとう」
などの言葉が聞かれ、笑顔が見られることも多くなってきました。
仕事を終えて帰宅する前に、ふっと気になってお部屋にお伺いしたときなどは、
「もう帰るの?」
「明日は来るの?」
とよく聞かれたことを思い出します。
2年間担当させていただきましたが、介護福祉士としてこの方の最後の担当をしたことを光栄に思います。
安らかに眠られることをお祈りしています。