KEYNOTE-799試験 化学免疫放射線療法

 現在のところ、局所進行非小細胞肺がんにおける免疫チェックポイント阻害薬の出番は、化学放射線療法後のデュルバルマブ維持療法のみである。

 今回の臨床試験では、ペンブロリズマブを同時併用で開始して、最大17コース(1年間)続けるというもの。

 治療スケジュールがトリッキーで、コホートA、コホートBともにexperimental armという香りがする。

 第III相試験へ発展していくのだろうが、さてreference armをどうするか。

 デュルバルマブ維持療法とのhead to headとするのか、いったん通常の化学放射線療法(海外の臨床試験なので、シスプラチン+エトポシド放射線治療かな)との比較で勝って、デュルバルマブと同じ位置に上るのを目指すのか。

 後者なら、まだデュルバルマブの立ち位置は安泰だろう。

 なぜって、治療内容が煩雑だから、デュルバルマブに勝たない限りは誰もやろうとしないだろう。

Phase II study of pembrolizumab (pembro) plus platinum doublet chemotherapy and radiotherapy as first-line therapy for unresectable, locally advanced stage III NSCLC: KEYNOTE-799.

Salma K. Jabbour et al., ASCO 2020 Abst.#9008

背景:

 KEYNOTE-799試験は切除不能・局所進行III期非小細胞肺がんに対する化学放射線+ペンブロリズマブ併用療法を評価する臨床試験である。

方法:

 今回の第II相、非無作為化、オープンラベル臨床試験において、病理学的に確定診断され、RECIST ver1.1における測定可能病変を有する切除不能未治療IIIA-IIIC期非小細胞肺がん患者を対象とした。コホートAではカルボプラチン6AUC+パクリタキセル200mg/?を?コース目で投与、3週間後以降の?、?コース目ではにカルボプラチン2AUC+パクリタキセル45mg/?を毎週投与した。コホートBではシスプラチン75mg/?+ペメトレキセド500mg/?を3週間ごとに?−?コース目まで投与した。どちらの治療を選ぶかは担当医の判断で選択可能とし、コホートBの治療は非扁平上皮がんの患者のみ選択可能とした。コホートA、B共通の治療として、ペンブロリズマブ200mg/?を3週ごとに、治療開始時から最高?コースまで投与し、併せて化学療法?、?コース施行中に併せて胸部放射線治療(1回2グレイ、30回分割照射、総線量60Gy)を行うこととした。主要評価項目は奏効割合およびGrade 3以上の肺臓炎発生割合とした。安全性評価は全ての患者に対して行い、有効性評価は15週以上の追跡調査ができた患者のみを対象とした。

結果:

 2020年1月3日までに、コホートAに112人、コホートBに73人の患者が登録された。コホートAの63人、コホートBの52人は、この時点でもプロトコール治療を継続していた。コホートAにおける追跡期間中央値は8.3ヶ月(0.7-14.0ヶ月)、コホートBにおける追跡期間中央値は5.8ヶ月(0.2-13.7ヶ月)だった。奏効割合はコホートAで67.0%(90%信頼区間は58.9-74.3%)、コホートBで56.6%(90%信頼区間は44.4-68.2%)だった。Grade3以上の肺臓炎はコホートAで9人(8.0%、90%信頼区間は3.4-13.6%)、コホートBで4人(5.5%、90%信頼区間は1.8-12.1%)だった。治療関連のGrade3以上の有害事象はコホートAで72人(64.3%)、コホートBで30人(41.1%)に認めた。コホートAにおいて、肺臓炎による治療関連死を4人認めた。コホートAの患者登録は既に終了し、コホートBでは現在も集積中である。

KEYNOTE-799試験 概略

KEYNOTE-799試験 効果

keynote-799試験 有害事象