がん細胞のPD-L1発現が50%以上の進行非小細胞肺がん患者を対象に、ペンブロリズマブ単剤療法の有効性を検証したKEYNOTE-024試験について。
5年生存割合が31.9%であることが2020年の欧州臨床腫瘍学会で公表され、以下の記事にしました。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e980235.html
ドライバー遺伝子変異のない進行非小細胞肺がん患者の32%、つまり3人に1人が5年生存することに、驚きを以て記事にしました。
本試験では、化学療法群の66%が病勢進行後にペンブロリズマブに治療変更したとされており、化学療法群でも16.3%、つまり6人に1人は5年生存するということで、一般的な感覚からすると極めて良好な成績でした。
化学療法群の成績がこれだけ良いことに、かえって後治療のペンブロリズマブの凄みを感じます。
2021年の日本臨床腫瘍学会総会では、KEYNOTE-024試験の日本人サブグループにおける5年生存割合が公表されました。
なお、日本人サブグループでは、PD-L1発現が90%以上の患者さんがペンブロリズマブ群21人のうち10人(48%)を占めていたとのことです。
冒頭の図表に示すように、ペンブロリズマブ群の5年生存割合は51%と、2人に1人は5年生存しています。
また、化学療法群の73.7%が病勢進行後にペンブロリズマブに治療変更したとされていますが、化学療法群の5年生存割合は21%で、5人に1人は5年生存しています。
さらに言えば、ペンブロリズマブを既定の35コース、つまり約2年間継続できた患者さんはペンブロリズマブ群21人中8人(38%)にのぼり、この集団の5年生存割合はなんと100%です。
ちなみに、この8人のうち、3人は治療終了後に病勢進行に至ったそうですが、ペンブロリズマブを再投与したところ2人で再度病巣が縮小したそうです。
見方を変えれば、8人中5人は追加治療を必要としていないということでもあります。
こうなると、少なくともドライバー遺伝子変異陰性、PD-L1発現50%以上の進行非小細胞肺がん患者に対する病状説明の内容は、従来とはずいぶんと違ったものになってきます。
進行非小細胞肺がんは治癒不能である、という病状説明の前提条件、果たしてこのままでよいのでしょうか。