僕も年をとって、どこかに書いておかないと勉強したことはおろか、どこで勉強したかも忘れるようになりました。
備忘録代わりにちょっと書き残させていただきます。
2013年4月6日 第161回ICD講習会(有楽町朝日ホール)
1)Hibワクチン(石和田 稔彦先生:千葉大学医学部附属病院 感染症管理治療部)
・Hib:Haemophilus influenzae type bの頭文字から命名
・インフルエンザ菌には莢膜株と無莢膜株がある
・莢膜株の中でb型の莢膜を持つHibは最も病原性が高い
・インフルエンザ菌による全身性重症感染症の90%以上はHibによる
・小児の細菌性髄膜炎の原因菌の約50%がHib
・Hib髄膜炎は生後3ヶ月頃から認められ、生後6ヶ月から1歳代にピークがあり、2歳以下が75%を占める
・Hibは大腸菌など他のさまざまな最近と交差抗原性をもっている
・成人では、ほどんどが自然にHibに対する防御抗体を獲得していて、成人のHib感染症は稀
→すなわち、成人にはHibワクチンは必要ない
・Hibワクチン導入前の日本人小児の大多数はHibの防御抗体を持たない→Hibワクチン接種が必要
・Hibワクチンが使用され始めてから、欧米ではHib感染症が激減
・WHOは全ての小児が接種すべきワクチンとしてHibワクチンを推奨している
・2008年12月から、日本でもHibワクチン接種が可能になった
・2011年から全国的に公費助成制度が導入され、5歳未満の小児では無料で接種可能になった。
・Hibワクチンの接種対象者は、生後2ヶ月以上5歳未満
・Hibワクチンは、接種者に対する効果のみならず、Hibの保菌者を減らすことによってその伝播を減らし、集団としてもHib感染症を減らす集団免疫効果もありそう
2)HPVワクチン(川名 敬先生:東京大学大学院医学系研究科 生食発達加齢医学専攻産婦人科学講座)
・HPVワクチンの導入により、子宮頸癌が世界的に減少すると推定されている
・世界的にHPVワクチンが導入されてからまだ4年しか経っていないが、既に社会としてHPV関連疾患が減少するという事例が見られ始めている。
・2011年からHPVワクチンは、学童女子(中学1年から高校1年)を対象として公費助成制度が導入された
・2011年の段階における学童女子のHPVワクチン接種率は75%
・HPV16型/HPV18型は、子宮頸癌発症にかかわっている
・HPV6型/HPV11型は、性感染症である尖圭コンジローマ発症にかかわっている
・24-45歳の女性の2/3は、子宮頸癌発症にかかわるHPV16/18未感染→HPVワクチンの効果が期待できる
・先行導入された2価HPVワクチンのサーバリックスは、HPV16/18を対象としている
・2011年から国内でも使用可能となった4価HPVワクチンのガーダシルは、HPV6/11/16/18を対象としている
・現在、9価ワクチンも臨床試験中である
3)インフルエンザとインフルエンザワクチン(堤 裕幸先生:札幌医科大学医学部 小児科学講座)
・インフルエンザは、たったひとつの感染症でありながら、その流行の大きさがその年の全死亡統計に大きなインパクトを与える稀有な感染症
・米国の一部では弱毒生ワクチンが使用されているが、その他のほとんどの国ではわが国同様に不活化ワクチンが用いられている
・1歳未満の乳児におけるインフルエンザワクチンの効果は明らかでない
・1歳以上の幼児では、発熱を指標とした際には30%程度の有効性が認められる
・65歳未満の成人では50-70%の有効性が認められる
・65才以上の高齢者では有効性は下がるが、死亡阻止効果は70%以上とされる
4)肺炎球菌ワクチン(永井 英明先生:国立病院機構東京病院 呼吸器センター)
・肺炎球菌ワクチンには2種類ある
・ニューモバックスは23種類の肺炎球菌抗原が含まれた23価ワクチン
・プレベナーは7種類の肺炎球菌抗原にキャリア蛋白を結合させた7価ワクチン
・ニューモバックスは乳幼児では十分な免疫賦活効果が無いが、プレベナーにはある
・介護施設入居者約1000人を対象とした臨床試験では、ワクチン接種群では非接種群と比較して63.8%の肺炎球菌性肺炎減少効果が認められ、肺炎球菌肺炎による死亡率は、接種群で0%、非接種群で35.1%だった
・現在、50%以上の自治体で、65歳以上の高齢者に対して肺炎球菌ワクチンの公費助成を行っている
・近い将来、13価の小児用肺炎球菌ワクチンが上市される
・誤嚥性肺炎にはACE阻害薬,赤唐辛子(カプサイシン),半夏厚朴湯(ドーパミン作動薬),シロスタゾール(脳梗塞予防),口腔ケア,食後2時間の座位保持,葉酸接種