「東アジアにおけるPROFILE 1014試験」とうたっていますが、実質は参加した患者の90%以上が中国の漢民族であり、「中国におけるPROFILE1014試験」と考えてよさそうです。
Crizotinibの効果は言わずもがなですが、プラチナ+ペメトレキセド併用療法の効果も捨てたものではないように感じました。
−ASCO2016 #9058
・PROFILE1014試験で、ALK陽性非小細胞肺癌初回治療ではペメトレキセド+プラチナ併用療法よりCrizotinibが優れることが示された
・今回は、中国、香港、マレーシア、台湾、タイといった東アジア諸国で、同様の試験を行い、再現性があるかどうかを見た
・無増悪生存期間中央値を6.4か月から10か月に改善する、という仮説を、検出率80%、片側検定の有意水準0.025で検出するデザイン
・2012年9月から2014年7月までに、207人の未治療ALK陽性進行非小細胞肺癌患者を登録した
・割り付け調整因子はECOG-PS( 0 / 1 vs 2 )とした
・Crizotinib群(104人)とペメトレキセド+プラチナ併用療法群(103人)に1:1で割り付けた
・Crizotinib群における病勢進行後のCrizotinib継続は許容した
・ペメトレキセド+プラチナ併用療法群における病勢進行後のCrizotinibへの変更も許容した
・主要評価項目は無増悪生存期間とした
・副次評価項目は奏功割合、全生存期間、安全性とした
・Crizotinib群とペメトレキセド+プラチナ併用群において、それぞれ中国漢民族の割合は91% vs 93%, PS 0 /1は95% vs 95%だった
・同様に、脳転移を有する割合は20% vs 31%とペメトレキセド+プラチナ併用群でやや多かった
・Crizotinibは有意に無増悪生存期間を延長した(ハザード比0.40, 95%信頼区間0.29-0.57, p<0.0001)
・無増悪生存期間中央値はCrizotinib群で11.1か月、ペメトレキセド+プラチナ併用群で6.8か月だった
・奏功割合はCrizotinib群で87.5%, ペメトレキセド+プラチナ併用群で45.6%だった(両側検定でp<0.0001)
・解析時点で、ペメトレキセド+プラチナ併用群のうち82人(80%)がCrizotinibに治療変更していた
・解析時点で、全体の59%(122人)が生存していた
・解析時点で、イベントが35%しか発生していなかったため生存解析はimmatureだったが、生存期間に統計学的有意差はなかった
(ハザード比0.90, 95%信頼区間0.56-1.45, 片側検定でp=0.33)
・安全性は既報と同様だった
・Crizotinib群で頻度が高かった全Gradeの有害事象は、肝機能異常(69%)、下痢(59%)、視覚障害(56%)だった。
・Crizotinib群で頻度が高かったGrade 3 / 4の有害事象は、白血球減少(16%)と肝機能異常(12%)だった。
・治療関連死に至った患者は2人で、原因不明1人、間質性肺疾患1人であり、どちらもCrizotinibによるものと考えられた
・今回の試験結果により、PROFILE1014試験と同様に、東アジアのALK陽性進行非小細胞肺癌患者においてもCrizotinibによる初回治療がペメトレキセド+プラチナ併用療法と比較して無増悪生存期間、奏功割合において優れることが示された。