進行非小細胞肺癌に対するニボルマブ単剤初回治療

 第III相試験で優越性が否定されてしまった(http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e863977.html)今となっては後の祭りだが、2015年に発表されたニボルマブ単剤の進行非小細胞肺癌初回治療の第I相試験結果が論文化された。そうは言いながらも改めて結果を見てみると、4人の完全奏効患者がいたり、生存期間中央値が19ヶ月を超えていたりで、単剤療法であることを考えると明らかに既存の殺細胞性抗腫瘍薬とは一線を画している。Check Mate 026試験の詳細をよく見極めたうえで、対象患者を絞り込む手立てさえあれば、十分初回治療に耐える薬剤と思われる。

Nivolumab Monotherapy for First-Line Treatment of Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer.

Gettinger et al.

J Clin Oncol. 2016 Sep 1;34(25):2980-7

背景:

 ニボルマブは抗PD-1抗体で、既治療進行非小細胞肺癌に対してドセタキセルと比べて生存期間を延長することが示されている。Check Mate 012試験では進行非小細胞肺癌に対するニボルマブ単剤療法の第I相試験を行った。

方法:

 52人の患者が、ニボルマブ3mg/kgを2週間ごとに、病勢進行もしくは耐容不能の有害事象に至るまで継続した。病勢進行後の後治療はプロトコールに従って許容された。主要評価項目は安全性で、副次評価項目は奏効割合と24週間無増悪生存割合とした。全生存期間は探索的評価項目とした。

結果:

 全グレードのなんらかの有害事象は、患者全体の71%で認めた。疲労・倦怠が29%、発疹が19%、嘔気が14%、下痢が12%、皮膚掻痒症が12%、関節痛が10%だった。10人(19%)の患者ではGrade 3 / 4の有害事象が出現した。Grade3以上の発疹は、複数の患者で認められた唯一のGrade 3 / 4の有害事象だった(2人、4%で発症)。6人の患者では、治療関連有害事象のためにプロトコール治療を中止した。完全奏効し治療を継続している4人(8%)を含めた奏効割合は23%(12人)だった。12人中9人(75%)は11週時点の初回効果判定時に奏効に至っており、8人(67%)はデータ解析時点でも治療継続中であった(最短5.3ヶ月から最長25.8ヶ月)。PD-L1発現陽性の患者での奏効割合は28%(32人中9人)で、陰性患者での奏効割合は14%(14人中2人)だった。無増悪生存期間中央値は3.6ヶ月で、24週無増悪生存割合は41%(95%信頼区間は27%−54%)だった。生存期間中央値は19.4ヶ月で、1年生存割合は73%(95%信頼区間は59%-83%)、1年半生存割合は57%(95%信頼区間は42%-70%)だった。

結論:

 ニボルマブ単剤初回治療は、忍容可能な安全性プロファイルとdurable responseを示した。