コメントと個別相談

 「大分での肺がん診療」という、ちょっとマニアックなブログ。

 そもそもコンセプトからして一般的ではない。

 絶対に万人向けではない。

 肺がんの患者さん、ご家族以外には、全く役に立たない。

 それだけに、一面ではとてもデリケートな側面を併せ持っている。

 期せずして肺がんと関係せざるを得なくなった方にとっては、意外と貴重な場であるらしい。

 ことに2年前からは、折に触れていろいろと考えさせられた。

 その都度、業界に対する自分の在り方や、ブログの運営について手を加えてきた。

 自分の在り方は自分で変えればいい。

 ブログの運営はプラットフォーム管理者に相談してお金を払えばいい。

 だけど、今回は自分だけの問題では済まなくなった。

 本来は、記事に対するコメントはそれ以上でもそれ以下でもないし、そもそもコメントに回答する必要もない。

 だが、医師という職業人である以上、個別相談を持ちかけられたら条件反射的に回答してしまう。

 

 気づいてみたら、こうしたコメント・個別相談が、延べ500件を超えていた。

 とくに個別相談に対して真面目に回答し始めたら、もはや個人的趣味では済まされない。

 そして今回は、意図せずにとは言え、どうも一組の患者さんと担当医の信頼関係を根っこから破壊してしまったような気がしてならない。

 職業人としてこれではいけない。

 プライバシーを保全して、相対で回答して、なおかつその結果がほかの方々にも二次的に役立つようなシステムを作らなければならない。

 実現できるなら、同じような病状を戦っている方同士が繋がれるようなシステムを作らなければならない。

 実臨床の世界で、患者さんが最適な診療を辿っていけるような後ろ盾となる何かを作らなければならない。

 大分でも、どこでも、だれでも、そこにアクセスできなければならない。

 digital native世代だけでなく、digital immigrant世代でもアクセスできなければ、本来情報が必要なところに届かない。

 コメントをくださった方々のほとんどは、患者さんの子供世代の方だった。

 本ブログで個別相談を受けるのは、やめた。

 でも、代わりになるシステムを、考えたい。

 多分、システム構築をしたら、以後の個別相談は有料とせざるを得ないだろう。

 その方が本当に必要な人だけがアクセスしてくださるだろうから、かえっていいのかも知れない。