脳転移のある患者に対する、定位脳照射後の予防的全脳照射

 ・・・とはいえ、これは悪性黒色腫の話。

 Best of ASCO 2019で紹介されていた話をノートに取っていたので、書き残しておく。

〇 悪性黒色腫の脳転移

・転移性脳腫瘍の原発巣:肺癌>乳癌>悪性黒色腫

・脳転移が転移全体に占める割合が多い癌:悪性黒色腫>肺癌>腎癌

・全悪性黒色腫の1.3%、進行悪性黒色腫の35.4%が全経過中に脳転移を合併する

・脳転移を有する悪性黒色腫の生命予後は、脳転移発見から4−6ヶ月

・Tio M et al., Melanoma Res 2018 509-515

 対象患者(脳転移を有する悪性黒色腫)の生存期間中央値:7.1ヶ月

 そのうち、薬物療法+定位脳照射+手術を受けた患者の生存期間中央値:14.9ヶ月

〇 ASCO 2019 Abst.#9500 

・脳転移合併悪性黒色腫に対する、定位脳照射+全脳照射 vs 定位脳照射+経過観察の比較試験

・全脳照射は局所制御率を向上するが、生存期間延長には寄与しないと考えられている

・海馬回避の全脳照射を適用する

・主要評価項目は治療1年後の頭蓋内遠隔転移割合で、50.5% vs 42%、ハザード比1.28(0.89-1.84)

・1年生存割合は58.4% vs 50%

・以上から、定位照射後の予防的全脳照射の意義は乏しいと結論される

〇 ASCO 2019 Abst.#9501

・脳転移合併悪性黒色腫に対するニボルマブ+イピリムマブの有効性評価を後方視的に行った

コホートA:無症候性の患者→奏効割合>50%、6ヶ月生存割合90%

コホートB:症候性の患者→奏効割合22%、6ヶ月生存割合66%