術後補助化学療法にもオシメルチニブ・・・ADAURA試験、「顕著な有効性」を示す

 EGFR遺伝子変異陽性の肺がん患者に対する術後補助化学療法、この分野ではLast Frontierといっていいだろう。

 何度か記事として取り扱っている。

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e833715.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e900761.html

http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e969543.html

 術後補助療法としてのオシメルチニブの有効性を検証した第III相ADAURA試験、「顕著な有効性」を示したとのこと。

 しかし、手放しで喜ぶには抵抗がある。

 少なくともUFTやプラチナ併用化学療法、ゲフィチニブの有効性が既に証明されている患者集団に対して、プラセボ対照臨床試験を行うことは倫理的に許されることなのか。

 上記の既存治療との比較試験が新たに必要になるのならば、結局この試験、何のためにやったのか。

https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2020/2020041701.html

<タグリッソの第?相ADAURA試験、EGFR遺伝子変異陽性肺がん患者さんに対する術後補助療法において顕著な有効性を示し、早期に非盲検化を予定> 2020年 4月 17日

・ADAURA試験は、肺がんの術後補助療法を対象にEGFR阻害剤を評価し、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあるベネフィットを示した

・薬事承認申請を予定

アストラゼネカは、4月10日、オシメルチニブが第?相ADAURA試験において顕著な有効性を示したことにより、独立データモニタリング委員会の勧告に従って早期に非盲検化されることを発表した

・ADAURA試験は、完全腫瘍切除したIB期、II期、IIIA期の上皮成長因子受容体遺伝子変異陽性(EGFRm)非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんを対象に術後補助療法としてのオシメルチニブの評価を行う第III相臨床試験

・第III相ADAURA試験の主要評価項目は無病生存期間

・本試験では、オシメルチニブをプラセボと比較し、最長3年の治療期間で評価した

・本試験は引き続き、副次評価項目である全生存期間の評価を行う

・なお、本試験における新たな安全上の問題は提起されなかった

ADAURA: Phase III, Double-blind, Randomized Study of Osimertinib Versus Placebo in EGFR Mutation-positive Early-stage NSCLC After Complete Surgical Resection.

Wu EL, Tsuboi M et al., Clin Lung Cancer. 2018 Jul;19(4):e533-e536

背景:

 完全切除を行った後の早期非小細胞肺がん患者に対する、術後補助化学療法としてのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬の役割は、現在検証が進んでいる段階に留まっている。多施設共同、二重盲検、無作為化、プラセボ対照臨床試験であるADAURA試験のデザインとその歴史的背景について紹介する。

患者と方法:

 対象は18歳以上(日本と台湾では20歳以上)、原発性非小細胞非扁平上皮がん、病期はIB期-IIIA期、EGFR Exon 19欠失変異もしくはExon 21 L858R点突然変異を伴っている患者とした。適格患者はオシメルチニブ群(オシメルチニブ80mg/日を1日1回服用)とプラセボ群(偽薬を1日1回服用)に1:1の比率で無作為に割り付ける。プロトコール治療は、?再発が確認される、?プロトコール治療中止基準に該当する、?3年間のプロトコール治療期間を完遂する、のいずれかを満たすまで継続することとした。主要評価項目は無病生存期間とした。副次評価項目には2年無病生存割合、3年無病生存割合、5年無病生存割合、全生存期間、5年生存割合、安全性・忍容性を含めた。QoLの評価、薬力学も評価項目とした。探索的評価項目として、診断時点でT790M変異を伴っていた患者における有効性、再発後の予後、後治療、プロトコール治療開始前と再発後のリキッドバイオプシーの結果を含めた。

結果:

 2015年08月から患者集積を開始し、2021年の第3四半期には結果が出ると予想される。