・2019年の死亡統計

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 日本人の死因と言えば、私が医学生だったころは、1位は悪性新生物、2位は心疾患、3位は脳血管疾患と相場が決まっていました。

 これがここ数年で頻繁に入れ替わっています。

 まず、肺炎が脳血管疾患を抑えて3位になりました。

 そうかと思いきや、肺炎が亜分類され、肺炎と誤嚥性肺炎に分けて統計処理されるようになり、2017年からは脳血管疾患が3位に返り咲きました。

 肺炎と誤嚥性肺炎を合計すると、2019年時点でも3位です。

 やれやれと思っていたら、老衰が脳血管疾患より上位に来るようになりました。

 

 私の世代の医師は、死亡診断書に「心不全」とか、「老衰」とか書いてはならないと教育されて生きてきました。

 その老衰が死因のトップ3に入っていいんですか、と愚痴りたくなってしまいます。

 しかしながら、超高齢患者さんの診療をしていると、どうしても老衰としか表現できないような方に遭遇します。 

 何となく元気がなくなり、何となく食事を食べなくなり、何となく弱って、文字通りともしびが消えるように亡くなっていきます。

 入院中で各種検査・治療が可能な患者さんですらそうした経過を取りますので、在宅診療の現場や老人ホームなどの施設では、老衰としか診断できない患者さんは相当数いらっしゃるでしょう。

 今回の死亡統計で老衰が3位に入ったのは、在宅診療が我が国に根付きつつあるひとつの傍証なのではないかと、個人的に感じています。

 

 悪性新生物が不動の死因第1位であることはゆるぎないですが、その中でも部位別にみていくと、肺がんは堂々の第1位です。

 全体で1位、男性で1位、女性でも1位であり、全く他の追随を許しません。