・CheckMate816試験・・・まだまだこれから

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 2020/10/08付で、小野薬品工業が以下のプレスリリースを発出しました。

 

 オプジーボと化学療法の併用療法が、切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法での第III相 CheckMate -816 試験において統計学的に有意な病理学的完全奏効の改善を示す

 https://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n20_1008.pdf

 

 ポイントを抜粋すると、

・Checkmate -816 試験は、切除可能な非小細胞肺がん患者の術前補助療法として、オプジーボと化学療法の併用療法を化学療法と比較評価した多施設共同無作為化非盲検第III相試験です

・一次解析には、患者約 358 例が登録され、オプジーボ 360 mg と組織型に基づくプラチナ製剤を含む化学療法 2 剤との併用療法を 3 週間間隔で最大 3 回投与する群、またはプラチナ製剤を含む化学療法 2 剤を 3 週間間隔で最大 3 回投与する群のいずれかに無作為に割り付けられ、その後、手術が施行されました

・本試験の主要評価項目は、病理学的完全奏効(pCR)=切除組織にがん細胞を認めないこと、および無イベント生存期間です

・主要な副次評価項目は、全生存期間(OS)、Major Pathological Response(MPR)および死亡または遠隔転移までの期間です

・本試験において、術前にオプジーボ(一般名:ニボルマブ)と化学療法の併用療法を受けた患者群では、化学療法を受けた患者群と比較し

て、切除組織にがん細胞を認めない患者数が有意に多かったことを示しました

・CheckMate -816試験は、非進行 NSCLC の術前補助療法で、免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用療法がベネフィットを示した初めてで唯一の第III相試験です

 

 古典的な考え方をすれば、肺がん治療における唯一絶対の評価項目は、全生存期間です。

 早い話が、長生きが目的ですよということです。

 しかし、全生存期間の評価には、時間もかかれば手間もかかります。

 そのため、全生存期間に代わる代替評価項目として、無再発もしくは無増悪生存期間が主要評価項目として用いられることが近年著しく多くなりました。

 本試験ではさらに一歩進んで、切除された病巣を顕微鏡で確認し、どの程度の腫瘍細胞が死滅せずに残っているか、という調査を行いました。

 今のところはニボルマブ+化学療法の組み合わせでpCR率が上がるかどうかのデータしかなく、これだけで何かの結論を出すのは拙速と言わざるをえません。

 無イベント生存期間と全生存期間のデータが明らかにされて、初めて本試験の意義が示されることでしょう。

 さて、pCR率の向上、果たして長生きにつながるのでしょうか。