アテゾリズマブ使用成績調査・・・間質性肺炎を発症したら結構ヤバい

 先日、アテゾリズマブの製造販売元である中外製薬株式会社の営業の方が、アテゾリズマブの市販直後調査の報告書を持ってきてくださった。

 2018年04月18日から2018年10月17日までの副作用情報をまとめたものだとのこと。

 まだつぶさに目を通してはいないものの、間質性肺炎に関する記載を簡単にまとめておく。

〇推定使用患者数:2140人

〇間質性肺疾患関連副作用:37人(1.7%)

〇間質性肺疾患関連副作用患者のうち、17人(46%)は治療開始から4週間以内に発症、13人(35%)は発症時期不明

〇間質性肺疾患関連副作用で死亡した患者は9人で、全体の0.4%、間質性肺疾患関連副作用発症者の24.3%

〇間質性肺疾患関連副作用により死亡した患者9人のうち5人が、治療開始から4週間以内に発症、残り4人は全て発症時期不明

→導入後4週以内が要注意、発症者の割合は分子標的薬よりも少ないが、発症したら4人に1人が死亡する

 解析時点では、アテゾリズマブは二次治療以降でしか使用できなかったはずなので、ペンブロリズマブと単純に比較することはできない。

 発症したら4人に1人が死亡するというのは、けっこう怖い。

 それにしても、「発症時期不明」が多いのは困る。

 そもそも、「発症」をどのように定義するかが問題だ。

 私は、肺がん患者データベースを運用するにあたり、便宜的に「発症日」=「病理学的確定診断に至る検査を行った日」としている。

 厳密に言えば、がん細胞が1ヶでも体内で発生した日が発症日なわけだが、この日を特定するのは不可能だ。

 今回の有害事象報告に関しても、「発症日」=「間質性肺疾患と診断するに至った画像診断を行った日」とすればどうだろうか。

 そうすれば、より実地臨床に応用しやすくなるだろう。