IMpower110・・・KEYNOTE024に届くか
ESMO2019で中間解析結果が報告されていたIMpower110試験。
PD-L1≧1%の未治療進行非小細胞肺がん患者を対象として、アテゾリズマブ単剤療法と標準化学療法を比較する第III相試験である。
PD-L1発現状態がTC3(腫瘍細胞の50%以上が陽性)またはIC3(腫瘍病巣内に含まれる炎症細胞の10%以上が陽性)の場合には、無増悪生存期間および全生存期間を、アテゾリズマブ単剤療法が有意に延長したとのこと。
実質的に、本試験の比較対象となるのはKEYNOTE042試験で、結果だけを見れば比較すべきはKEYNOTE024試験である。
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e934659.html
http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e963874.html
今回のIMpower110試験でもほぼ同じような結果(PD-L1<50%の患者には免疫チェックポイント阻害薬単剤治療の優越性は認められず)が得られているわけだが、あえてIC3の患者群は無視して、TPS≧50%(=TC3)の患者に対する効果ということで近似的にIMpower110とKEYNOTE024の効果を比較すると、
無増悪生存期間中央値:IMpower110 8.1ヶ月 vs KEYNOTE024 10.3ヶ月
全生存期間中央値:IMpower110 20.2ヶ月 vs KEYNOTE024 26.3ヶ月
となる。
無増悪生存期間、全生存期間ともに、KEYNOTE024レジメンのほうが優れている。
ここまで、アテゾリズマブ関連の臨床試験結果を書き連ねてきて思うこと。
・進行小細胞肺がんにおけるアテゾリズマブ+カルボプラチン+エトポシド併用療法
・腫瘍縮小を急ぎたい、あるいは胸水貯留を伴う患者で、ベバシズマブが使用可能な場合のアテゾリズマブ+ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル併用療法
あたりがアテゾリズマブを使うべき場合であり、あとはペンブロリズマブ一択でいいのではないか。
そして、ニボルマブの出番は、当面はなさそうである。
ニボルマブに今後活躍の場が残されるとすれば、術後補助療法として、もしくはイピリムマブとの併用療法として、くらいだろう。