HER2遺伝子変異陽性肺がんに対するtrastuzumab deruxtecanの有効性がDESTINY-Lung01試験で示され、以前記事にしました。
oitahaiganpractice.hatenablog.com
非常に有望な治療であることは論を俟ちませんが、trastuzumab deruxtecanはHER2に対するモノクローナル抗体に殺細胞性抗腫瘍薬をくっつけたような薬なので、小分子の分子標的薬に比べると殺細胞性抗腫瘍薬に近い副作用をもつ特徴があるようです。
そして、先日の2022年日本臨床腫瘍学会総会では、注意すべき副作用としてtrastuzumab deruxtecanによる薬剤性肺障害が挙げられていました。
Primary Data from DESTINY-Lung01: A Phase 2 Trial of Trastuzumab Deruxtecan in HER2-Mutated Metastatic NSCLC
Y.Goto et al. JSMO2022 Abst.#O13-3
既に過去の記事に盛り込みましたが、薬剤性肺障害に関する点だけここに記録しておきます。
・対象となった患者さんは標準治療に対し耐性となったHER2遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者91人
・Grade 3以上の薬剤関連有害事象は患者の46%に認められた
・薬剤性肺障害は24人(26.4%)の患者に認められた
・17人(18.7%)の患者が治療中止を余儀なくされた
・2人(2.2%)は肺障害により死亡した
・プロトコール治療開始から薬剤性肺障害が発生するまでの期間中央値は141日(14-462)で、薬剤性肺障害の持続期間中央値は46日(95%信頼区間24-94)だった
・Grade 1が3人(3.3%)、Grade 2が15人(16.5%)で、Grade 1 / 2の軽症群が薬剤性肺障害患者全体の75%を占めた
・24人中21人は副腎皮質ステロイドによる治療を受けていた
・データカットオフ時点で、24人中13人(54%)で薬剤性肺障害が軽快していた