・新型コロナウイルスワクチンによる免疫学的肺炎

新型コロナウイルス感染症の患者さんを診療していると、血液検査結果はそれほど大したことないのに、高い熱が続き、CTをとってみると淡いながらも肺炎像があった、ということをしばしば経験します。 1週間を超えて症状が続く患者さんには、抗ウイルス薬より…

・術前(Neoadjuvant)療法としての複合免疫療法

切除可能非小細胞肺がんの術前薬物療法というのは、ギリギリ切除可能かな、という患者さんに対する術前化学放射線療法をときどき行うくらいで、遍く行うような代物ではありませんでした。 しかし、CheckMate-816試験の結果を受けて、遠からず我が国でも、少…

・Ruminococcus属とAkkermansia属

以下のNEOSTAR試験の項で、腸管内のRuminococcus属とAkkermansia属の増加が治療有効性と相関があると触れました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com Ruminococcus? Akkermansia? 私が従事する呼吸器内科という診療科は、日頃から肺炎患者さんを診療して…

・術前ニボルマブ+イピリムマブ併用療法・・・ランダム化第II相NEOSTAR試験のおさらい

切除可能非小細胞肺がん患者さんを対象に、ニボルマブ+イピリムマブ術前併用療法の有用性を検証した第II相NEOSTAR試験。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 2019年の米国臨床腫瘍学会で取り上げられた際に一度触れましたが、論文化されていましたので改め…

・がん治療を続けながら入院リハビリをするということ

私の今の勤務先では月単位で入院リハビリができるので、呼吸器疾患を背景に持つ患者さんの入院リハビリ依頼が頻繁に持ち込まれます。 前立腺がんや婦人科がんの化学療法の合間に1-2週間転院リハビリができないか、といったような依頼が来たこともありますが…

・新型コロナウイルス感染症の治療は、いつまで全額公費で賄うのか

新型コロナウイルス感染症の治療をしていて、いつも思うことがあります。 新型コロナウイルス感染症治療薬を積極的に使うべきなのか。 対症療法と酸素投与、ステロイドで凌ぐべきなのか。 切り口を変えると、外国資本が提供する高額医療をするべきか、あるい…

・ORCHARD試験におけるモジュール4は無効中止:デュルバルマブ+ペメトレキセド+カルボプラチン併用療法の中間解析結果

EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対し、一次治療としてオシメルチニブを使った後に病勢進行したあと、再生検の結果に応じて異なる治療を提供するORCHARD試験。 今回は、治療標的となり得る異常が見つからなかった患者さんに対するデュルバルマブ+ペ…

・RET肺がんに対するセルペルカチニブ・・・LIBRETTO-001試験の最新データ

RET融合遺伝子陽性既治療(プラチナ併用化学療法を含む3レジメン)進行肺腺がんの義父が、セルペルカチニブを飲み始めて3ヶ月以上経過しました。 滑り出しはよかったものの、退院したとたんに過敏反応にさいなまれましたが、担当医の適切なご対応により現在…

・EGFRエクソン20陽性肺がんに対するAmivantamabで進行が止まることの意義

第II相臨床試験では奏効割合が主要評価項目とされることが多く、腫瘍がそれほど縮小せず、またそれほど増大もしない、病勢安定という状態についてはあまり注目されません。 今回の報告は、病勢安定にもちゃんと意味があるんだよ、ということを示しています。…

・EGFRエクソン20挿入変異に対するAmivantamab

EGFRエクソン20挿入変異という厄介なEGFR遺伝子変異があります。 今回取り上げる論文によると、その特徴は以下の通りです。 ・EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの中では、3番目に頻度が多い(多く見積もってEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの12%) ・多様…