・悪性胸水に対しOK-432(ピシバニール)を用いた胸膜癒着術

一時期、終日臥床状態、意思疎通ほぼ不能の患者のがん性胸膜炎制御に忙殺されていました。 毎日1000-1500mlの胸水が出続けるので、週末返上で頑張って管理しました。 胸水の処理だけならまだしもなのですが、そのせいで脱水傾向は強まるし、電解質バランスは…

・エドルミズと高血糖

エドルミズの市販直後調査の結果が報告されていたので眺めてみました。 https://www.ono-oncology.jp/system/files/2021-09/ADM_houkoku_0.pdf 胃腸障害が28件で最多ですが、そのうち最も多かったのは悪心で13件、全て非重篤でした。 続いて一般・全身障害お…

・肺がんの危険因子

昼過ぎにふと手に取った雑誌に、肺がんの危険因子が特集されていました。 箇条書きにして書き残します。 <喫煙> ・喫煙者では非喫煙者に比べ男性で4-5倍、女性で2-3倍肺がん死亡率が増加する ・喫煙本数に依存して発がん率が高くなり、1日に35本以上の重喫…

・第III相REVEL試験、第II相JVCG試験から、ラムシルマブ+ドセタキセル併用療法再考

免疫チェックポイント治療薬が進行非小細胞肺がんの薬物療法に導入された当初、主戦場は二次治療の場面でした。 各種の抗PD-1, PD-L1抗体がドセタキセルをはっきりと凌駕する形で有効性が示され、肺がん薬物療法の新たな扉が開かれました。 そして、これまで…

・アンサーとセファランチン、放射線治療とリンパ球

セファランチン、最近めっきり使わなくなってしまった薬の1つです。 とても不思議な薬で、効能・効果は、 「放射線による白血球減少」「円形脱毛症・粃糠性脱毛症」 とされています。 かつて、胸部放射線治療を開始した患者さんによく処方していましたが、効…

・緩和ケア病棟の閉鎖

先日、近隣の医療機関からこんな文書連絡がありました。 「当院の緩和ケア病棟を閉鎖します」 ここは準公的医療機関であり、この地域では唯一、緩和ケア専門病棟を有していました。 旧知の医師が病棟責任者を務めていて、彼の前職のころから、私は何度も助け…

・原料価格よりも安い値段で薬を販売する!?

読書の秋です。 ことに土曜日の夜は、本を読みふけるのにぴったりです。 とはいえ、本を買ってきては読了し、そのまま本棚に収めると、また無駄な荷物を増やして、といつも妻とけんかになります。 そんなわけで、最近はできるだけ図書館で借りてきた本を読む…

・EGFR遺伝子変異の国別地方分布

webセミナーを眺めていたら、面白い論文が紹介されていました。 Worldwide Frequency of Commonly Detected EGFR Mutations Rondell P. Graham et al., Arch Pathol Lab Med. 2018;142:163-167 doi: 10.5858/arpa.2016-0579-CP EGFR遺伝子変異の国別分布です…

・肺がん患者とメディア

・大上段に構えたようなタイトルだが、内容は他愛ないです。 夕食をとってしばらくし、世間の流れを掴もうとうずたかく積まれた未読の新聞をめくっていたら、妻がおもむろに以下の記事を読んでごらんと言ってiPadをよこしました。 【コロナ禍のがん闘病記〜…

・2019年の死亡統計

日本人の死因と言えば、私が医学生だったころは、1位は悪性新生物、2位は心疾患、3位は脳血管疾患と相場が決まっていました。 これがここ数年で頻繁に入れ替わっています。 まず、肺炎が脳血管疾患を抑えて3位になりました。 そうかと思いきや、肺炎が亜分類…

・テクノロジーの進歩とともに失われていくもの

テクノロジーの進歩とともに、失われていくものがあります。 新型コロナウイルスとともにリモートコミュニケーションが普及し、face to face交流の一部は確実に失われるでしょう。 そのほかに、最近失われたなあと感じるものを挙げてみます。 ・CDの普及とと…

・終末期ケアとCoVID-19緊急事態宣言のせめぎあい

がんの種類を問わず、社会復帰を目指したリハビリテーションを希望する患者さん、あるいは住み慣れた地域での終末期医療を希望する患者さんは、できるだけ受け入れるように努力しています。 今日は、婦人科がんの患者さん受け入れについて、県外の医療機関か…

・電子カルテ

現在の職場に電子カルテが導入されて、随分経過しました。 現在システム更新作業のただなかにあります。 所感を少し。 手書きのお手紙が電子メール、SNSに切り替わるように、紙カルテが電子カルテに切り替わるのも、時代の要請であることは間違いありません…

・CheckMate-153試験:ニボルマブは途中でやめられない?

非小細胞肺がんの薬物療法にかかる費用が高騰しているのは、次々に出てくる高額な薬のせいだ、とよく言われます。 確かにその通りです。 あちこちで論じられているので、いまさら言うまでもありません。 また、薬の単価だけではなくて、治療期間も長くなる傾…

・始めてみました。

twitterではなかなか語りきれないので、日々の肺癌診療で感じたことをブログにして残すことにしました。 最近困っていることは、高齢者を肺癌と診断したときの取り扱い。 80-90歳の方に手術・放射線不能の肺癌が見つかったとき、「抗がん薬を使いましょうね…