・腫瘍マーカー

RET融合遺伝子陽性肺がんの義父がセルペルカチニブを飲み始めてから、そろそろ5か月経過します。 起こった変化は、 ・過敏反応を合併し、セルペルカチニブを減量、プレドニゾロン内服開始 ・過敏反応が改善してからセルペルカチニブ漸増、プレドニゾロン漸減…

・巨大髄膜種と重症肺化膿症

世間はCoVID-19による行動制限なしの、久しぶりの大型連休初日です。 私はといえば、朝な夕なに入院担当患者さんがお亡くなりになり、哀しい連休初日になりました。 重症肺炎で人工呼吸管理中の超高齢患者さんを抱えているので、もとより今年の大型連休はな…

・「PRiME-R」と電子カルテ入力支援システム「CyberOncology」

以前、電子カルテ内に蓄積されたデータをリアルワールドデータ(RWD=実地診療データ)として利用するための仕組みのひとつとして、国立がん研究センター中央病院で「Double Jump」というシステムの開発が進んでいると書いたことがあります。 oitahaiganprac…

・Ruminococcus属とAkkermansia属

以下のNEOSTAR試験の項で、腸管内のRuminococcus属とAkkermansia属の増加が治療有効性と相関があると触れました。 oitahaiganpractice.hatenablog.com Ruminococcus? Akkermansia? 私が従事する呼吸器内科という診療科は、日頃から肺炎患者さんを診療して…

・がん治療を続けながら入院リハビリをするということ

私の今の勤務先では月単位で入院リハビリができるので、呼吸器疾患を背景に持つ患者さんの入院リハビリ依頼が頻繁に持ち込まれます。 前立腺がんや婦人科がんの化学療法の合間に1-2週間転院リハビリができないか、といったような依頼が来たこともありますが…

・過去のレントゲンやCT写真

呼吸器内科医として診療していると 「患者さんの写真を撮ったら影があったので、見てもらえませんか」 と相談を受けることが多々あります。 異常を指摘された際の写真だけだと、いろいろな病気の可能性を考えます。 私はいつも 「無症状で肺にコインのような…

・広い意味でのチーム医療

肺がん診療から少し話題が離れます。 私の今の職場では、過去の職場よりも遥かに他の職種のみなさんの力に頼ることが多いです。 医師になって3-4年目くらいまでは、担当患者さんの福祉関連業務や施設入居調整など、全部自分でしていました。 今ではかなり分…

・患者さんの理解度に合わせた、必要にして十分な病状説明と同意の取得

インフォームド・コンセント、インフォームド・アセントという言葉がありますね。 インフォームド・コンセントとは、「医療者による説明を十分に理解したうえで(インフォームド)、 患者さんが検査や治療の実施に自発的に同意する(コンセント)こと」だそう…

・悪性度の低い悪性腫瘍、悪性度の高い良性腫瘍

なんだかわけのわからないタイトルになってしまいました。 最近身の回りで起こった出来事から。 1)悪性度の低い悪性腫瘍(腺様嚢胞がん) 確定診断からゆうに5年以上経過する主気管支内悪性腫瘍の患者さんです。 紹介元で手厚い治療を受け、病状が安定した…

・台湾女性における肺がんCT検診と過剰診断

我が国の成人女性の喫煙率は、2018年のデータで8.7%とされています。 1966年には18%だったので、約50年で半減しています。 おとなりの台湾では、成人女性の喫煙率は5%未満とさらに低いんだそうです。 約20年前の報告では、肺がん男性の85%、肺がん女性の…

・抗がん薬治療中のB型肝炎ウイルスとの付き合い方

B型肝炎ウイルスのスクリーニング検査として頻用されるHBs抗原検索では、その陽性例でステロイドの投与や化学療法により、B型肝炎ウイルスの急激な増殖(再活性化)が起こり、致死的な重症肝炎に至ることが報告されています。 HBs抗原陰性であっても、HBc抗…

・抗がん薬治療中の植物との付き合い方

私も年を取ったのか、はたまた新型コロナウイルス感染症の流行により引きこもり生活が長くなったためか、植物と仲良くすることが多くなりました。 小さな植木鉢を買ってきて、ヤマボウシやイロハモミジの種を拾ってきて植えて、小さな苗を日々可愛がっていま…

・肺がんと診断されてから禁煙することに意味はあるのか?

先日、治療はおろか診断に必要な検査も拒んだ肺がん疑いの90代の患者さんが、静かに息を引き取りました。 高度の喫煙歴があったこと、肺気腫と間質性肺炎を合併していたこと、腫瘍マーカーのSCCが上昇していたことから、原発性肺扁平上皮がんだったのだろう…

・歯の手入れ

肺がんのみならず、がん治療と並行して歯の手入れを行うことの大切さは今更いうまでもありません。 とはいえ、私自身きちんとした歯の手入れを身に着けるまでに、何十年もかかりました。 いまが完成形かどうかは分かりませんが、一例として参考にしていただ…

・しゃっくり(吃逆)と柿のへた

当直勤務していたら、脳梗塞後の患者さんが嘔吐しているので診てほしいと依頼され、ベッドサイドに行ってみました。 患者さんはほぼうつぶせになって、緑色の吐物を断続的に吐いておられます。 便秘がひどくなるといつもこうなり、自然に収まるまではそうし…

・少数の遠隔転移(オリゴ転移)に対するEGFRチロシンキナーゼ阻害薬と定位放射線照射の併用療法

少数の遠隔転移を有するEGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がんに対する局所療法の有効性について。 個人的な見解に過ぎませんが、方法論としては放射線治療のほか、手術も考えていいのではないかと思っています。 局所症状の治療ないしは予防に役立つし、腫…

・エドルミズ、また使えず

他の医療機関からご依頼を受けて、しばらくお預かりしている高齢の非小細胞肺がんの患者さんがいらっしゃいます。 困ったことに、転院後ずっとお食事がのどを通らず、かなりひどい脱水状態になってしまったため、点滴での治療を継続しています。 このままで…

・SPIKESのまとめ

ここ1週間くらい、シリーズとして「悪い知らせの伝え方」「SPIKES」についてまとめてきました。 最後にもう一度、スライドだけまとめて掲載します。 面談に参加されるみなさんが一連の流れを踏まえておくと、きっとお役に立つと思います。

・SPIKESの最後のS

今回は「SPIKES」の最後の「S」のお話です。 一連の面談が終了し、最後の締めくくりです。 SPIKES最後の「S」は「Strategy」の「S」、または「Summary」の「S」です。 悪い知らせを伝える際の面談は、長い時間を要することがほとんどです。 患者さん、ご家族…

・SPIKESのE

今回は、「SPIKES」の「E」を扱います。 「SPIKES」の「E」は「Empathy」「Exprolation」の「E」です。 「Emotion」は「感情移入」「共感」です。 「Exprolation」は「探索」です。 前回の「K」の際に「K」と「E」は本来不可分なのでは、といった締めくくり…

・SPIKESのK

今回は、「SPIKES」の「K」を扱います。 「SPIKES」の「K」は、「Knowledge」から来ています。 準備を重ねて、いよいよ患者さんに悪い知らせを伝える段階です。 「S」「P」「I」での内容を踏まえて、過不足なく医療情報を患者さんに伝えます。 言うまでもあ…

・SPIKESのI

今回は「SPIKES」の「I」を扱います。 「I」は「Invitation」の頭文字です。 「Invitation」=「招待」? 患者さんから、ご自宅にでも招待されるんでしょうか。 それとも、医療従事者が患者さんをどこかに招待するんでしょうか。 どっちもピンと来ませんよね…

・SPIKESのP

今回は、「SPIKES」の「P」を扱います。 「P」は「Perception」の頭文字です。 「Perception」の意味は「認識」「理解」です。 患者さんもしくは家族、敷衍すれば説明する医療従事者側の「認識」「理解」です。 当然のことながら、面談開始前の参加者それぞ…

・SPIKESの最初のS

今回は、「SPIKES」の最初の「S」について扱います。 「S」は「Setting」の頭文字です。 日本語訳すれば「事前準備」といったところでしょうか。 本稿を読んでおられる方には、病院で自分・もしくは家族の病状説明を受けたことがある方もいらっしゃると思い…

・悪い知らせの伝え方「SPIKES(スパイクス)」はなぜ必要なのか

悪い知らせの伝え方「SPIKES(スパイクス)」。 がん診療においてなぜこの面談技術が必要なのか、一例を挙げてみます。 「SPIKES」はASCO(米国臨床腫瘍学会)公式カリキュラムの第1巻に収められています。 この冊子は非売品で、今でも大切に手元に保管して…

・悪い知らせの伝え方、受け取り方

11年ぶりに、このテーマについて更新します。 この期間に肺癌診療、ことに肺癌薬物療法は随分と様変わりしました。 しかし、このテーマについてはずっと色褪せず、変わりません。 いつまでも心にとどめておきたいテーマです。 ***************************…

・12年ぶりで改めて代替医療に関する私見

12年前の年末にも、この話題について書きました。 改めて刷りなおすことにしました。 12年前もそうでしたし、3回目のブログお引越しになる今回も、状況は変わりません。 お願いしてもいないし、逆に申し出もないのに、早速ブログに代替医療のリンクが貼られ…

・お引越し

引っ越しました!

・肺がん患者に3回目の新型コロナウイルスワクチン接種は必要か

結論から言えば、是非接種するべきです。 我が国でも新型コロナウイルスワクチン接種者の割合が随分と高くなりました。 NHK特設サイトから引用(データソースは首相官邸発表)によると、日本国内の全人口に占める新型コロナウイルスワクチン接種者の割合は、…

・タルクは噴霧するのがいいのか、懸濁液を注入するのがいいのか

がんによる悪性胸水貯留患者さんに対し、しばしば行われる胸膜癒着術。 胸膜癒着術に使用される薬は様々ありますが、この使用法に特化した薬としてタルク末があります。 本来は胸腔鏡下にパウダーとして肺表面へ散布するのが正しい方法であると、呼吸器内視…