2018-01-01から1年間の記事一覧

がん薬物療法専門医試験の病歴要約査読と面接官依頼

日本臨床腫瘍学会のがん薬物療法専門医・指導医になると、今度は評価者として試験に関わる機会がある。 新しく専門医試験を受けようという受験者の病歴要約査読と口頭試問の面接官の業務だ。 これまでに病歴要約査読を何度か引き受けたが、最後に引き受けた…

コメントと個別相談

「大分での肺がん診療」という、ちょっとマニアックなブログ。 そもそもコンセプトからして一般的ではない。 絶対に万人向けではない。 肺がんの患者さん、ご家族以外には、全く役に立たない。 それだけに、一面ではとてもデリケートな側面を併せ持っている…

FDAがニボルマブを進展型肺小細胞がんの三次治療以降に承認

FDAが進展型肺小細胞がんの三次治療以降にニボルマブを承認した。 他に治療選択肢がないので悪い話ではないと思うが、承認の根拠としてはやや弱い気がする。 FDA Approves Nivolumab for Certain Patients With Previously Treated Small Cell Lung Cancer B…

プラチナ+ペメトレキセド+ペンブロリズマブによる初回治療、FDAが通常承認

当面は、本治療が進行非扁平・非小細胞肺がんの一次治療の真打か。 どうやって医療費を賄う? 併用療法をしてもしなくても治療成績が変わらない人をどうやって抽出する? PD-L1≧50%なら化学療法併用不要、それ以外は要併用、と判断していいのだろうか? FDA …

オシメルチニブ、一次治療承認・・・再生検はもうお払い箱なのか?

Best of ASCO 2018に参加して以降、この記事を書くタイミングをはかって、ずっと沈黙していた。 2018年7月31日付で、cobas ver.2を用いた組織・血漿EGFR遺伝子変異検査が承認された。 https://www.roche-diagnostics.jp/news/18/08/17.html 2018年8月21日付…

・NEJ009試験−5年生存なんて、もう普通かも。

免疫チェックポイント阻害薬の話題が花盛りです。 そうした世間の流れはあるものの、NEJ009試験、腫瘍学会のプレナリーセッションで取り扱われてもおかしくない内容です。 EGFR遺伝子変異のある患者には、EGFR阻害薬、化学療法、どちらも漏れなく使うのが長…

KEYNOTE-407試験、ペンブロリズマブがアテゾリズマブを一歩リードか

進行肺扁平上皮癌に対する初回治療としての免疫チェックポイント阻害薬+化学療法の有効性を検証する試験。 アテゾリズマブがIMpower131試験、ペンブロリズマブはKEYNOTE-407試験。 全生存期間解析についてどちらも中間解析時点とはいえ、KEYNOTE-407試験で…

・IMpower150試験:麺大盛り、肉野菜増し増し、背脂多めで!

ASCO2018で発表されたIMpower150試験(Abst.#9002)、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+カルボプラチン+パクリタキセル・・・。 ちゃんと結果が出たんだけど、実臨床でやるかどうかと言われると悩んでしまいます。 こんなてんこ盛りの超高額医療、果たして本…

OAK試験(二次治療アテゾリズマブ)

ASCO2018では化学療法やベバシズマブとの併用がフォーカスされた(Abst.#9002のIMpower150試験、Abst.#LBA9000のIMpower131試験)アテゾリズマブだが、今のところ我が国では二次治療における使用しか認められていない。 最近本ブログ上で、未治療の脳転移を…

・KEYNOTE-042がKEYNOTE-024の結果を追認

2018 ASCO plenary sessionで取り扱われ、あちこちで取り沙汰されているKETNOTE-042試験について。 製薬会社のプレスリリースや発表の要約を見ると、 「いよいよPD-L1≧1%の患者でも初回治療から使えるようになってしまうのか?」 と考えがちですが、PD-L1≧50…

ジーラスタの後発薬をFDAが承認

ジーラスタの後発薬をFDAが承認したらしい。 肺がん領域でも使用頻度が増えている印象があり、我が国にも導入されると、それなりに医療費抑制効果があるかも知れない。 リンパ腫のリツキシマブ、胃がんのトラスツズマブはすでにわが国でも承認されているよう…

アテゾリズマブ+化学療法 IMpower 131 study

まだ我が国でアテゾリズマブによる二次治療が承認されて間もないが、肺扁平上皮癌に対する初回治療として、アテゾリズマブと化学療法の併用が有効である、との報告が出てきた。 今のところ無増悪生存期間の改善が認められるが、全生存期間については判断でき…

・切除可能非小細胞肺がんに対する、術前ニボルマブ療法のパイロット試験

参加患者数わずか22人、解析対象者数わずか21人のとても小規模な初期の臨床試験だですが、とても面白いです。 論文を読んでみて、よく分かりました。 思わず長々と書いてしまいました。 臨床試験コンセプト立案の妙といいますか、科学的に見て面白く、将来展…

平成30年度診療報酬改定と肺がん診断のための検査

先日開催された2018年度日本呼吸器学会総会。 聴講しようと思っていたセッションが大賑わいで、会場に入りきれなかった。 それじゃあということで、保険委員会報告に顔を出してきた。 実務に関わっている医師よりは、病院の管理をしている医師の方が多い…

KEYNOTE-189再掲−Game Changer−

KEYNOTE-189の結果が論文化されていたので読んでみた。 何分、初回の中間解析で有効中止となってしまったものだから、生存解析の結果はまだまだ未成熟と言わざるを得ない。 とはいえ、分子標的治療でもないのに、全生存期間の解析で、しかもドライバー遺伝子…

アテゾリズマブ、使用可能に

2018年4月18日、抗PD-L1抗体としては初めて、アテゾリズマブが使用可能になった。 進行非小細胞肺がん患者を対象に、PD-L1の発現状態によらず、二次療法以降で使用可能となった。 これで二次治療で使える免疫チェックポイント阻害薬は3種類が犇くことになっ…

ニボルマブによる術前治療

免疫チェックポイント阻害薬による術後療法の臨床試験は身近なところでも進められている。 しかし、術前治療については見たことがない。 治療というより、基礎研究の手法として、研究者にとっては興味深いところだろう。 術前に腫瘍組織と血液を採取して、薬…

KEYNOTE-042・・・The bar is dropping.

KEYOTE-024も十分インパクトがあった。 実際、標準治療が変わってしまった。 http://oitahaiganpractice.junglekouen.com/e914135.html しかし、このKEYNOTE-042はさらにインパクトが大きい。 The bar has been dropping. TPS≧50%は結構高いハードルだった気…

オシメルチニブ、いよいよ一次治療として承認へ

以下の通り、アメリカではオシメルチニブの一次治療使用が認められた。 こうなってしまうと、再生検の結果に一喜一憂しているのが馬鹿馬鹿しくなってしまう。 もちろん、初回治療は第一世代薬で、耐性化したら再生検して、T790M陽性だったらオシメルチニブに…

免疫細胞療法と骨髄抑制

海外へ家族旅行に行っていた患者さんが、無事に帰ってきた。 渾身の英文紹介状は出番がなかったようだが、何よりだ。 海外に行く前後で、免疫細胞療法を受けてきたとのこと。 関連性は不明だが、旅行出発前に比べて血小板が1/5まで低下し、10万/μLを下回って…

ROS1耐性変異

ROS1融合遺伝子陽性肺がん、調べられるようになったものの、そうそう簡単には見つからない。 これまでのところ、身の回りで見つかったのは1件のみ。 分子標的薬の治療選択としては、クリゾチニブ一択。 先日、コメント欄でROS1陽性肺がん患者さんから相談を…

新年度

診療に忙殺されている間に、いつの間にか4月になっていた。 すっかり記事の更新がおろそかになってしまった。 今日のNew England Journal of Medicineには、腎細胞がんに対してNivolumab+Ipilimumab併用療法がsunitinib療法を全生存期間で凌駕したという報告…

がんリハの波が来た

ここのところ、なぜか担癌患者さんのリハビリ転院依頼が多い。 ここ1−2週間で受けた連絡は、 ・20代男性、脳腫瘍術後 ・60代女性、進行乳がんに対する化学療法中に脳梗塞発症 ・80代女性、局所進行小細胞がん治療経過中に腰椎多発圧迫骨折発症 自分…

英文の紹介状

白血球がほぼ枯渇するくらい厳しい治療をどうにか1コース乗り越えた進行肺がん患者さんが、家族で海外旅行に行きたいとのこと。 旅行先で具合が悪くなるのが心配で、英文で診療情報提供書を書いてほしいと依頼された。 一般外来で、しばしば不意に海外の方…

KEYNOTE-189 プラチナ+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ

遅ればせながら、進行非小細胞非扁平上皮肺がんに対するプラチナ+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ併用療法の件。 全生存期間も無増悪生存期間も、中間解析時点で優越性が証明されてしまったとのこと。 プラチナ+ペメトレキセド+ペンブロリズマブ vs プ…

中心静脈ポート

「たかだか肺がんの薬物療法くらいに、中心静脈ポートなんて必要ない!」 というのが、私の持論だった。 「殺細胞性抗腫瘍薬の点滴に、輸液ポンプを使うのはナンセンスだ!」 というのと同じくらいの勢いで、そう思っていた。 肺がんの薬物療法に、日をまた…

JAVELIN Lung 200のupdated data

倫理的配慮からやむを得ない試験デザインだったのだと思うが、プロトコール治療後の免疫チェックポイント阻害薬クロスオーバーによってnegative studyとなってしまったのは痛恨の出来事だろう。 一方、PD-L1中等度発現以上の患者群で、どの程度クロスオーバ…

FDA、局所進行非小細胞肺がんにDurvalumabを承認

何はともあれ、治癒を目指せる治療法が増えるのはとても意義深い。 FDA Expands Approval of Durvalumab to Reduce the Risk of NSCLC Progression By The ASCO Post Posted: 2/20/2018 5:56:34 PM Last Updated: 2/20/2018 9:44:22 PM 2018年2月16日、米国…

・uncommon EGFR変異にはアファチニブ

uncommon EGFR変異陽性肺癌にはアファチニブが有効とされています。 2018年1月12日付で、米国食品医薬品局はマイナーなEGFR変異陽性肺癌にアファチニブの適応を拡大しました。 決して多くはない変異ですが、治療薬が決まっていると患者も家族も医療従事者も…

反省会

今日は、自分自身実に17年ぶりの参加となる、特殊な院内会議に出席した。 「デス・カンファレンス」。 亡くなった患者さんに関する、事例検討会だ。 2017年12月末に亡くなった患者さんについて、関連したそれぞれの職種に思うところがあり、開催することとな…