・子宮内膜がん(子宮体がん)がん薬物療法の進歩

現在、子宮内膜がん(子宮体がん)終末期の入院患者さんを担当しています。 子宮・膀胱・直腸が互いに交通(穿通)してしまい、感染によるものかがんの浸潤によるものか判然としない痛みにさいなまれていらっしゃいます。 かかりつけの産婦人科の先生への定…

・デュルバルマブ+トレメリムマブ+プラチナ併用化学療法はどんな患者に使うべきか

2022年12月28日付で、進行・再発非小細胞肺がんに対する治療として厚生労働省の適応承認を受けたデュルバルマブ+トレメリムマブ+プラチナ併用化学療法。 プラチナ併用化学療法は二剤併用なので、とどのつまり四剤併用のがん薬物療法です。 本治療の有効性…

・アテゾリズマブ併用化学療法の有効性と免疫関連有害事象の関係

進行非小細胞肺がんに対するプラチナ併用化学療法+アテゾリズマブを含む併用療法の有効性を検証した3つの臨床試験・・・IMpower130試験、IMpower132試験、IMpower150試験を統合解析し、有効性とirAEの関係を探った研究です。 そこそこのirAEに見舞われた方…

・ADAURA試験のほぼ4年追跡調査から

EGFR遺伝子変異陽性完全切除後非小細胞肺がんに対する、オシメルチニブ術後補助療法の有効性を検証した第III相ADAURA試験。 約4年追跡調査後のデータが論文として公表されています。 圧倒的なオシメルチニブ優位のデータは、4年追跡調査後も不動のようです。…

・CodeBreaK200試験・・・KRASG12C変異肺がんの標準二次治療はソトラシブへ

KRAS G12C変異陽性の既治療進行非小細胞肺がんに対するソトラシブ内服療法。 CodeBreaK 200試験において、ドセタキセルとの大規模比較試験で有意に無増悪生存期間を延長したとのことです。 加えて、副作用もドセタキセルより軽微だった模様です。 腫瘍縮小効…

・CALGB140503試験・・・IA期非小細胞肺がんに対する区域切除 / 部分切除と肺葉切除

病巣最大径が2cm以下でその充実性成分が全体の50%超、所属リンパ節転移を伴わない早期肺がんに対し、肺葉切除術に対してより切除範囲の少ない区域切除術の治療成績(無再発生存期間)が劣らないことを示したJCOG0802試験について、2022年の初めに紹介しまし…

・CheckMate153試験再び・・・途中でやめられません

既治療非小細胞肺がんに対するニボルマブの継続投与と1年間期間限定投与を比較する第IIIb / IV相試験のCheckMate153試験について紹介します。 Continuous Versus 1-Year Fixed-Duration Nivolumab in Previously Treated Advanced Non–Small-Cell Lung Cance…

・限局型肺小細胞がんとデュルバルマブ同時併用化学放射線療法・・・韓国、ドイツにおける第II相試験

前回までの記事で見てきた通り、限局型肺小細胞がんの治療開発は停滞気味です。 一方、進展型肺小細胞がんには、アテゾリズマブやデュルバルマブといった抗PD-L1抗体に分類される免疫チェックポイント阻害薬をカルボプラチン+エトポシド併用療法と一緒に使…

・限局性肺小細胞がんに加速過分割照射はまだ必要か?

前回の記事では、限局型肺小細胞がんに対するシスプラチン・エトポシド併用療法+同時併用加速過分割胸部放射線照射に関するエビデンスをおさらいしました。 それを踏まえての、今回の報告です。 限局型肺小細胞がんに対してシスプラチン・エトポシド併用療…

・限局型肺小細胞がんに対するシスプラチン・エトポシド併用療法+同時併用加速過分割胸部放射線照射

分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬の登場により、21世紀に入ってからの肺がん薬物療法は随分と様変わりしてきました・・・、という語り口ももはや陳腐化してきましたね。 21世紀もほぼ四半世紀を既に終えようとしており、「新世紀」とか「21世紀…

・CheckMate227試験 日本人サブグループ5年間追跡調査結果

先日少しだけ取り上げたCheckMate 227試験の5年間追跡調査後の日本人サブグループ解析について、改めて取り上げます。 CheckMate 227試験は、PD-L1発現状態別にいろいろとてんこ盛りで検証しようと極めて複雑な臨床試験デザインが組まれ、しかも途中で大きな…

・CheckMate 9LA試験 日本人サブグループ3年間追跡調査結果

先日少しだけ取り上げたCheckMate 9LA試験の3年間追跡調査後の日本人解析結果について、あらためて取り上げます。 CheckMate 9LA試験は、進行非小細胞肺がん患者さんを対象に、プラチナ併用化学療法2コース+ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の意義を検証し…

・第II相OPAL(NEJ032C / LOGiK1801)試験・・・オシメルチニブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤併用療法

EGFR遺伝子変異陽性進行非小細胞肺がん患者さんに対し、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法が非常に有効で、生存期間中央値は実に49カ月と報告されています。 oitahaiganpractice.hatenablog.com ゲフィチニブでこれだけ良い結果が示され…

・2022年日本肺癌学会総会つまみ食い その2

2022年世界肺癌会議からの注目演題紹介、というセッションだったと思います。 内容もさることながら、今年度修行先から大分に帰ってこられた先生が堂々と発表しておられたので、頼もしい限りだなあ、と感じ入りながら拝見しました。 ・EGFR-TKI既治療EGFR遺…

・NEJ-043試験 日本人EGFR遺伝子変異陽性肺がんに対するABCP併用療法は?

IMpower150試験において、EGFR-TKI既治療EGFR遺伝子変異陽性患者にABCP併用療法を適用した場合の生存期間中央値は27.8ヶ月(95%信頼区間18.6-41.4)で、今回のNEJ043試験の結果はやや劣ります。 oitahaiganpractice.hatenablog.com とはいえ、EGFR-TKIの治療…

・HERTHENA-Lung02試験:EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対するHER3-DXdの効果は?

次世代の殺細胞性抗腫瘍薬として、抗体薬物複合体の開発が盛んです。 ことに、トポイソメラーゼI阻害薬と、特異抗体への接着剤となるリンカーを結合させたDeruxtecanを各種特異抗体にくっつけたものが話題に上ります。 今回は、EGFRと同様に細胞膜に存在する…

・2022年日本肺癌学会総会つまみぐい その1

2022年12月1日から3日にかけて、福岡市で日本肺癌学会総会が開催されました。 木・金・土の3日間で、新型コロナウイルス感染症はまだ鎮静化していませんし、診療に穴をあけるわけにもいかないので、都合のつく範囲でweb参加しました。 学会のweb参加、随分と…

・ADAURA試験、2年間の追加追跡調査の結果

完全切除後EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者さんに対し、術後補助療法としてのオシメルチニブの意義を検証したADAURA試験。 2年間の追加追跡調査後の結果が報告されていました。 結果は揺るがず、オシメルチニブの高い治療効果を追認することとなりまし…

・KEYNOTE-042試験 5年間追跡調査後

PD-L1≧1%以上の進行非小細胞肺がん患者さんを対象に、ペンブロリズマブ単剤療法の有効性を検証したKEYNOTE-042試験、5年間追跡調査後の結果が報告されていました。 個人的に考えるポイントを3つ挙げれば、以下の通りです。 ・ペンブロリズマブ単剤療法を自信…

・第III相IPSOS試験・・・プラチナ併用化学療法ができない患者へのアテゾリズマブは?

プラチナ併用化学療法の対象とならない進行非小細胞肺がん患者さんに対するアテゾリズマブ単剤療法の有効性と安全性を検証した第III相IPSOS試験。 ジェムシタビンやビノレルビンが比較対象となったことは適切なのか、という気はしますが、少なくともこれらの…

・KEYNOTE-407試験 5年間追跡調査後

進行肺扁平上皮がんに対するペンブロリズマブ+(ナブ)パクリタキセル+カルボプラチンの有効性を検証したKEYNOTE-407試験。 5年間追跡調査後の結果が出てきました。 3点ポイントを上げるならば、 1.生存期間中央値17.2ヶ月 2.5年生存割合18.4% 3.2…

・KEYNOTE-189試験 5年間追跡調査後

進行非扁平上皮非小細胞肺がんに対するペンブロリズマブ+ペメトレキセド+プラチナ製剤の有効性を検証したKEYNOTE-189試験。 5年間追跡調査後の結果が出てきました。 3点ポイントを上げるならば、 1.取り組みやすい治療 2.PD-L1発現状態によらず有効性…

・進行非小細胞肺がん2次治療における免疫チェックポイント阻害薬+抗がん薬併用の意義

進行非小細胞肺がんの二次治療以降で免疫チェックポイント阻害薬が有効なことは、CheckMate-017試験、CheckMate-057試験、KEYNOTE-010試験、OAK試験あたりで再現性をもって示されました。 それでは、長く標準治療として君臨してきたドセタキセルをさらに上乗…

・NTRK融合遺伝子陽性肺がんに対するラロトレクチニブ

臓器横断的臨床試験の結果、既に実地臨床で使用できるラロトレクチニブ。 oitahaiganpractice.hatenablog.com 肺がん患者さんだけでの治療成績はどうか、というのが今回の報告の趣旨です。 印象深かったのは、以下の3点でしょうか。 1.対象となったのはNTR…

・EGFRエクソン20挿入変異とsunvozertinib

オシメルチニブの構造を土台として、側鎖に操作を加えてEGFRエクソン20挿入変異に有効な治療薬を開発するというコンセプトで見いだされたsunvozertinibというお薬、今年のASCOで報告されていました。関連した論文に詳しい内容が記載されていましたので読んで…

・ニボルマブ+イピリムマブ併用療法は、PS良好なら年齢を問わずよさそう

なんだかこのところ、肺がん薬物療法の話題と言えばニボルマブ+イピリムマブ併用療法ばかりを取り上げているような気がします。 実母の治療経過に直結するのでどうしても興味が集中しがちです。 年齢問わず、PS 0-1と良好ならニボルマブ+イピリムマブ併用…

・ニボルマブ+イピリムマブ±化学療法における副作用対策の基本的考え方

先日、ニボルマブ+イピリムマブ±化学療法についてのオンラインセミナーがありました。 新型コロナウイルス感染症患者さんが夕方から2人入院してきて、対応に忙殺されましたが、どうにか途中から参加することができました。 どちらかというと、本治療の有効…

・METエクソン14スキップ変異陽性肺がんに対するamivantamabの効果

EGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに対する有効性が報告されているamivantamabですが、抗EGFR抗体としての側面に加え、抗MET抗体としての一面もまた持っています。 METエクソン14スキップ変異陽性肺がんに対するamivantamabの効果もCHRYSALIS試験では検証さ…

・EGFRエクソン20挿入変異とCLN-081

EGFRエクソン20挿入変異に対する新たな薬、CLN-081の報告です。 開発段階としてはまだ早期の段階ではありますが、amivantamabに比肩する有効性を示しているような印象を受けます。 CLN-081は米国のカリナン・オンコロジー社が開発した薬で、2022/05/12付で大…

・第II相BTCRC LUN 16-081試験・・・III期非小細胞肺がんに対する化学放射線療法後の複合免疫療法

冒頭に掲げたのは、私の母の胸部レントゲン写真です。 1枚目は放射線肺臓炎発症前、2枚目は放射線肺臓炎発症後です。 2枚目の写真では左肺門部から心陰影に隠れた左肺下葉にかけて放射線肺臓炎が出現しており、左横隔膜の不明瞭化や左肋骨横隔膜下区の鈍化(…